遺産分割協議とは|事前に確認すべきポイントや進め方まで解説します!

親族が亡くなった際に、遺された財産をどのように配分するかは大切な問題です。遺言がしっかりと残されていれば問題ありませんが、遺言から抜け落ちた財産があるかもしれません。また、遺言が残されておらず分割しづらい財産が多く残っていることもあります。

法定相続割合に応じて遺産を平等に分割することはできますが、さらに柔軟に遺産を分割する方法として遺産分割協議があります。そこで、この記事では遺産分割協議について、遺産分割協議とは何か、また遺産分割協議の進め方や注意点などについて解説していきます。

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遺産分割協議とは

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、故人の遺産を相続する権利を有する人(法定相続人)が集まり、「誰が」「どの財産を」「どういった割合で」相続するかを話し合うことです。

一般的に、遺産の相続は「遺言」もしくは「法定相続割合」を基本としますが、法定相続割合では上手く分割できないこともあります。そこで、相続人全員で遺産分割協議を行い話し合うことで、全員が納得できる形で自由に遺産を分割することが可能です。

例えば、両親と2人兄弟の4人家族がいたとします。父親が亡くなり、相続人は残された家族3人だけだった場合に遺産分割協議を行います。その結果、配偶者の母親は家、長男は現金、次男は車と美術品といった分け方ができるようになります。

遺産分割協議の前に確認すべき4つのポイント

遺産分割協議を行う前に確認すべき4つのポイントがあります。ポイントは以下の通りです。

  • 相続人の範囲を確認する
  • 遺言書の有無を確認する
  • 遺産の範囲を確定する
  • 遺産を評価する

それぞれにポイントについて詳しく解説していきます。

相続人の範囲を確認する

遺産分割協議を行う場合にはまず相続人の範囲を確認する必要があります。

前述したように、遺産分割協議は相続人全員が参加しなければなりません。もしも相続人の範囲が曖昧なまま遺産分割協議を行えば、相続の権利があるにも関わらず参加してない人が出てくることも考えられます。相続人全員が参加してない遺産分割協議は無効となってしまうので、相続の範囲は確実に確定しておきましょう。

相続人の範囲を確定することが難しくなる原因として以下のようなケースがあります。

  • 離婚していて前夫・前妻との間に子供がいる
  • 養子縁組をしている
  • 再婚相手に連れ子がいる

このケースは全て相続の権利がありますが、特に前夫・前妻との間に子供がいる場合には連絡が取れないこともあります。また、子どもがいたのかもわからないケースもあるかもしれません。相続人の範囲を確定するためにも、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取るようにしましょう。なお、戸籍謄本は登録されている役所でしか取得ができません。例えば生まれた時の本籍地が東京で、そこから引っ越しなどで本籍地が大阪、京都と移っている場合には、東京大阪京都と3箇所の役所で取得する必要があります。

そのため、出生から死亡までの戸籍謄本の取得は、非常に時間がかかることがあるので相続が発生したら、可能な限り早く取得するようにしましょう。

なお、相続放棄をした人は相続権を失うので、遺産分割協議に参加してもらう必要はありません。

遺言書の有無を確認する

遺言書の有無の確認は真っ先に行うべきことと言っても言い過ぎではありません。遺言書があれば、その内容に従って遺産を配分するのが一般的です。そのため、遺言書がある場合には遺産分割協議を行う必要性がないかもしれません。

あらかじめ遺言書の有無を故人から聞いていれば問題ありませんが、無いと思っていても後から出てくることもあります。遺言書は、自宅に保管されている他、公証役場で作成された公正証書遺言であれば、最寄りの公証役場に問い合わせることで確認することができます。

また、令和2年7月より法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度が始まりました。故人がこの制度を利用している場合には、法務局にて確認することができます。

遺産の範囲を確定する

次に、遺産の範囲を確定しておきましょう。

遺産相続と言えば何をどのくらい相続するのかといったプラス面だけが見られがちですが、マイナス面の財産も相続しなければならないことを忘れてはいけません。負債などマイナス面の財産も遺産分割協議の対象となります。

そのため、このことを考慮したうえで分割協議を行わなければ、後々マイナス面だけを相続することになってしまう恐れがありますので注意が必要です。

プラスの財産、マイナスの財産とは主に以下のようなものです。

プラス面 マイナス面
現金・有価証券(現金、預貯金、株券、小切手など) 負債(借金、住宅ローン、小切手など)
不動産(土地、建物、店舗、借地権、借家権など) 税金関係(未納の各種税金)
動産(自動車、船舶、家財、骨董品、美術品、宝石など) その他(未払いの家賃、未払いの医療費など)
その他(ゴルフ会員権、損害賠償請求権など)

遺産を評価する

遺産の範囲が確定できたら遺産を評価します。現金や預貯金、株式などについては評価額を出すことは難しくありませんが、不動産や動産は売却見積もりや鑑定をしてもらわなければ評価額を出すことができないので厄介です。

とは言え、この作業を厄介だと思い後回しにしておくと資産総額や各資産価値がわからず協議が前に進まなくなることが考えられますので、遺産分割協議をスムーズに進めるためにも遺産の評価は事前に調べておくことが重要です。

遺産分割協議の進め方

step1.遺産の分割方法を決める

まずは、遺産の分割方法を決めます。遺産の分割は法定相続分を基本に分割しますが、不動産など分割しづらい遺産に関しては分割協議を行うという形が一般的です。遺産の分割方法には以下の4つがあります。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有分割

現物分割とは、遺産を現物で分けてしまう方法です。以下は1つの土地を配偶者とこども2人で現物分割した場合の図です。この場合には、どこからどここまでを誰が相続するかを明確にする必要がありますので、家屋調査士による測量やそれに伴う分筆登記が必要となります。もちろん一つの土地を相続人の一人が全て相続するというのも遺産分割協議により決めることが可能で、それも現物分割による分割となります。

1つの土地を配偶者とこども2人で現物分割した場合の図

代償分割とは、1人が不動産を相続し、他の相続人は不動産の価格相当分の金銭などを相続する方法です。例えば上記の配偶者と子ども2人の場合に、4,000万円相当の土地を配偶者が相続します。法定相続では子どもに1,000万円ずつの権利があるので、配偶者が自己資金から代償金として1000万円ずつを子どもたちに支払うことになります。」

換価分割とは、不動産を売却して、金銭にしたうえで分割する方法です。換価分割は分割しづらい財産を分割する方法として最も利用されています。

最後に共有分割とは、相続人全員で共有して不動産を相続する方法です。これは特段範囲を明確にして分割するのではなく、1つの財産を共有で所有する方法です。平等のように感じますが、もし売却したい場合など相続人全員の承諾が必要になるなど後々処分で揉めることも少なくありません。

まずは分割しづらい財産をどのような方法で分割するのかを相続人全員で決めましょう。

step2.遺産の分割基準を決める

次に、遺産の分割基準を決めます。誰がどの遺産をどれだけ相続するかということです。法定相続分を基本に分割することが一般的ですが、生前に故人から援助を受けていた、逆に故人に援助をしていたといったことも加味しながら決定します。また、各相続人の年齢や職業、心身の状態、生活状況などを考慮することも必要です。

step3.遺産を割り振る

step1で決めた分割方法、step2で決めた分割基準をもとに実際に遺産を割り振ります。一度遺産分割が行われれば、原則として相続人全員の合意がなければ遺産分割をやり直すことはできません。また、全員の合意が得られやり直すことができても、再度、贈与税や譲渡取得税がかかることを理解しておかなければなりません。

step4.遺産分割協議書を作成する

最後に、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書を作成するポイントは以下の通りです。

  • 遺産分割協議書であることがわかる明確なタイトル
  • お亡くなりになった方が誰か、相続人が誰かを記す
  • 協議の結果、どの財産を誰が相続することになったかを記す

不動産については登記簿謄本を参考に正確に記入する

  • 協議を行なった日(協議が成立した日)を明確に記す
  • 相続人全員の署名と実印での捺印・印鑑証明書

上記のポイントを押さえておけばご自身で遺産分割協議書の作成は可能ですが、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。

遺産分割協議を行う際の注意点

期限はないが10ヶ月以内がおすすめ

遺産分割協議には期限が無いので、どれだけ時間をかけて協議してもいいことになります。ただし、時間をかけすぎることはあまりお勧めしません。というのも、以下のことが考えられるからです。

  • 不動産の売却を考えているのに協議が進まず固定資産税がかかる
  • 相続税申告期限に間に合わなくなる
  • 協議中に相続人の誰かが亡くなれば関係が複雑化する

まず、不動産の売却を考えている場合に、協議がなかなか進まないと売却しようにもできず、固定資産税を支払い続けることになります。また、遺産分割協議が終わらなければ、故人の口座も休眠状態のまま触ることはできません。

次に、相続税には申告・納付期限が存在し、相続開始から10ヶ月以内に行われなければなりません。

また、遺産分割協議が長引けば、相続人の中から協議中に亡くなる人も出ないとは限りません。例えば、父親が亡くなり遺産分割協議を行なっていたが、途中で次男も亡くなったとします。すると、次男の配偶者や子どもも追加の相続人として遺産分割協議に参加することになり、余計に全員の同意を得ることが困難になります。

遺産分割協議は相続人全員で参加しなければならない

遺産分割協議は法定相続人全員が集まって話し合いを行わなければなりません。なぜなら相続人の誰かがいない状態で協議が行われていれば、その協議内容は無効となってしまうからです。

相続人の中に未成年者や精神疾患などで自分で判断できない状態にある人が含まれている場合もあります。そういった場合には未成年者は代理人を用意する必要があります。代理人は親が相続人でなければ親が担えますが、親も相続人である場合には親子の利害が対立してしまうため、法律上、特別代理人を付ける必要があります。また、精神疾患や痴呆など自分で判断できない場合には成年後見人を選任し、代理として出席してもらわなければなりません。

協議内容は書類に残しておく

「遺産分割協議の進め方」の「step4.遺産分割協議書を作成する」で解説したように、協議内容は遺産分割協議書として書面にしておく必要があります。この遺産分割協議書を作成しなければ、不動産の登記変更や故人の銀行口座を解約したり、相続人の一人に名義変更したりするなどの手続きができません

遺産分割協議書は「勝手に登記変更や故人の口座を利用しているわけではなく、みんなで話し合った結果です」という証明になるので非常に大切です。

遺産分割協議でまとまらない場合は調停・審判(裁判)を行う

相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所において調停や審判の手続きが必要になります。調停に入ると家庭裁判所の裁判官・調停員が間に入って各相続人の意見を聞き、また、具体的な解決策を提案しされながら話し合いを進めていきます。

提案にも納得できず調停が不成立になった場合には審判手続きに移行し、家庭裁判所が分割方法を決定する審判を下します。

遺産分割協議 まとめ

遺産分割協議は、遺産を柔軟に分割できる制度です。特に不動産など法定相続では売却できなければ分割に困ることも多く、遺産分割協議を行うことで各相続人にとって有益な遺産相続を行うことが可能です。しかし、相続人間で揉めてしまい、話し合いがまとまらないことがあるのも事実です。

遺産分割協議を行う際には法定相続分を基本としつつ、各相続人の年齢や職業、心身の状態、生活状況などを総合的に勘案し遺産の分割を行いましょう。

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