遺産分割調停とは?必要になるケースやデメリットについて分かりやすく解説します!

「遺産分割調停とは?」

遺産分割協議(話し合い)がまとまらず、その場合は遺産分割調停というものを行わなければならないと知ったが、難しいため理解しにくいですよね。

そこでこの記事では、
・遺産分割調停とは何か
・遺産分割調停が必要になるケース
・遺産分割調停のメリット、デメリット
について図解を用いながら分かりやすく解説していきます。

さらに、遺産分割調停の「費用」や「期限」についても紹介していますので、遺産分割調停について分からないことはなくなるはずです。

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Contents

遺産分割調停とは|話し合いが進まない場合に家庭裁判所で解決すること

遺産分割調停とは|話し合いが進まない場合に家庭裁判所で解決すること

「遺産分割調停」とは、亡くなった人が遺言書を残していない場合にどのように遺産相続するのかを家庭裁判所で解決することです。

相続人が多ければ多いほど土地、家屋、預貯金、ゴルフ会員権、株式などの遺産分割は時間がかかったり、もめたりすることがあります。しかし、相続人同士で話がまとまらない場合には「遺産分割調停」をおこなうことで遺産分割の円満解決を図れます。

家庭裁判所では裁判官と調停委員会が中立公正な立場で申立人と相手方それぞれから言い分を聞いたり、具体的な解決策を提案したりして相続分割の内容を調整してくれます。

遺産分割調停が必要になる2つのケース

遺産分割調停が必要になるケースは2つあります。遺産分割調停の必要性がわかりますのでそれぞれ見ていきましょう。

ケース1:遺産分割協議で合意に至らない

遺産分割調停は相続人同士でおこなう遺産分割協議で合意に至らない場合に選択される手続きです。

遺産分割協議とはどの人がどのような遺産をもらうかを決める話し合いのことですが、この時に相続人全員が冷静になり、公平平等に遺産分けできない例は多くあります。

このような場合に遺産分割調停を利用できます。

ケース2:他の相続人と話し合いができない

複数の相続人がいて話し合いができない人がいる場合も、遺産分割調停が選ばれます。

話し合いができない相続人とは、話し合いの場に現れなかったり電話にすら出なかったり、顔を合わせてもまともに話し合えない相続人のことです。

相続人同士の間で全員が満足する遺産協議ができない場合も、遺産分割調停が役立ちます。

※相続人と話し合いができない場合などでの遺産分割は、最終的には家庭裁判所での審判によって、遺産分割の内容を決めてもらうことになります。しかし、法律上、すぐに審判の申立てはできず、原則として遺産分割調停の申立てを先に行う必要があります(家事事件手続法257条)。調停でも話し合いが成立しなかった場合に審判手続に移行することになります(同法272条4項)。

遺産分割調停を行うメリット

相続人が遺産分割調停をおこなうメリットは全部で3つあります。遺産を分ける際に困ったり遺産分割調停にメリットを感じたりする場合に、相続人はこの調停を選択できます。

遺産分割調停をおこなうメリット

  • 遺産分割に関する話がまとまりやすい
  • 公平な解決がしやすい
  • 相続人同士で直接話し合わなくて済む

メリット1:話がまとまりやすい

遺産分割調停をおこなうメリットの1つ目は、遺産分割に関して相続人同士の話し合いがまとまりやすい点が挙げられます。

故人の遺産を分けることは人生に何度もあることではありません。そのため、どのような遺産がどれくらいあるのかを時間をかけて調べたり、どの遺産をどれくらいの割合でどの人が受け継ぐのかを決めるのはなかなか難しいでしょう。また、相続人1人1人の遺産に対する認識違いや誤解でトラブルになることも考えられます。

しかし、遺産分割調停なら調停委員が間に入って話し合いを行うため相続人間での話がまとまりやすく、冷静な話し合いも可能です。

メリット2:公平な解決になりやすい

遺産分割調停をおこなうメリットに2つ目は、調停をおこなうことで遺産分割問題が公平平等に解決されやすいことです。

というのも、調停委員が相続人の間に入り調停委員は裁判官とも協議しながら手続きを進めますので、法律に則った解決案へとつながりやすいからです。

たとえ相続人すべてが話し合いの場についても公平で平等な遺産分割は簡単なものではありません。また、遺産分けは時間も労力もかかるもの。

遺産を分けるならどの相続人にとっても公平で満足いく内容にしたいという人からも、遺産分割調停は選ばれています。

メリット3:直接話し合わなくて済む

分割調停をおこなうメリットの3つ目は、相続人同士で直接話し合わなくて済む点です。

遺産分けをしようにも、相続人同士が顔を合わせると話し合いがスムーズに進まなかったり、何度話し合いを重ねても内容が平行線だったりする例は多くあります。

しかし、遺産分割調停では調停委員が間に入って各相続人から話を聞きますので、相続人同士が顔を合わせて話さなくて済みます。

遺産分割調停を行うデメリット

遺産分割調停にはメリットもありますがデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのかもこの機会に知っておきましょう。

遺産分割調停をおこなうメリット

  • 調停の申し立て手続きの準備に手間や時間がかかる
  • 相続人同士が裁判所に出向く必要がある
  • 相続人全員の合意がなければ不成立になる
  • 調停の合意までには数ヶ月~1年程度かかる
  • 申立人の主張が通らないことがある

デメリット1:申し立て手続きの準備に手間がかかる

遺産分割調停をおこなうには、まず申立人による申し立て手続きが必要です。しかしこの申し立て手続きには準備が必要で手間がかかります。

遺産相続人は故人が残した預貯金、土地や家屋などの不動産、株などのプラスである財産のほか、借入れ、クレジットカードや家賃の未払いなどマイナスの財産もどこにどれくらいあるのか調査しなければなりません。

そのため、遺産分割調停を希望する相続人はある程度余裕を持って準備することが必要です。

デメリット2:裁判所へ出向く必要がある

遺産分割調停が開かれると、相続人が何度か家庭裁判所へ行く必要があります。

というのも、調停が開かれる回数は1か月に1回ほどですが、調停期日は平日の午前10時~午後5時の間にしか開かれません。このため、会社員の方などにとっては月に1回裁判所に行く時間を作るのも難しい側面があります。

なお、相続人が家庭裁判所に足を運ぶ合計回数は平均6回ほどなので覚えておきましょう。

また呼び出しを受けた関係人が正当な理由なく出頭しないときは5万円以下の過料が課されます。

デメリット3:調停の合意までには数ヶ月~1年程度かかる

遺産分割調停で申し立て人や相手方が合意に至るまでの期間ですが、およそ3か月から1年間ほどだと考えておけば問題ありません。もっとも長い遺産分割調停では3年ほどかかったものもあります。

このように、遺産分けに関する調停はスムーズに進んだとしても最低数か月は要してしまいます。

デメリット4:全員の合意がなければ不成立になる

遺産分割調停が無事に終わるためには、申立人と相手方すべての相続人による合意が必要です。もしも相続人全員の合意が得られなかった場合は遺産分割調停が不成立で終わってしまいます。

裁判官や調停委員を交えて相続人同士がいくら話し合っても、また、調停委員が全員による合意を得るために新たな解決策を提案しても、申立人と相手方の双方がその内容で良いですという意思を示さない限りは、調停は終わらないのです。

このように遺産分割調停はすべての相続人が遺産分割内容に満足するために開かれるものですが、申立人と相手方が調停内容に首をたてに振らなければ成立しない点もデメリットといえます。

調停が不成立で終わった場合には、家庭裁判所での審判手続に移行し、家庭裁判所の裁判官が審判で遺産分割の内容を決めることになります。

デメリット5:申立人の主張が通らないこともある

また、遺産分割調停は申立人の主張が通らない場合もあることについても知っておきましょう。

調停は裁判官や調停委員が申立人である相続人と相手方の相続人双方の意見を聞いて調整をおこなうものなので、当然申立人の言い分が相手方の言い分と一致するとは限りません。

そのため、申立人がこのような遺産分割を望んでいると主張しても、必ずしも希望通りの調停結果になるとは限らないのです。

遺産分割調停の流れ

ここで、遺産分割調停が5つのステップでおこなわれることを説明します。調停を考えている人は実際の調停に関する流れを知っておきましょう。

step1:遺産分割調停を申し立てる「遺産分割協議が不成立の場合」

相続人同士で遺産分割協議がまとまらなかったことで遺産分割調停をおこないますが、相続人のうち1人または複数人が申立人となります。この場合、残りのすべての相続人を相手方とします。

1点注意しなければならないのが、特にもめていない相続人がいる場合にも申立人か相手方どちらかにならなければいけないということです。つまり、対立している当人だけでなく相続人全員が関与することになります。

相続人が何人もいてどの相続人が申し立て人でどの相続人が相手方となるのかについては、以下をご確認ください。

  • 遺産分割に関して意見が対立していない相続人同士が申立人となる
  • 遺産分割に関して意見が対立している相続人を相手方とする

step2:調停日に自分の主張を伝える(当事者同士での対面は無し)

家庭裁判所に調停申立書が受理されてその内容が相手方に送られると、申立人との調整の後に調停日の指定がされます。

調停当日は申立人と相手方は待機する部屋が分かれていて、交互に調停室に呼ばれて調停委員と話をすることになります。自分の主張もこの時におこないます。

なお、調停では基本的に申立人と相手方が顔を合わせる場面はありませんが、調停の始まりと終わりには裁判所から調停の当事者すべてに手続き内容などの説明がされますので、当事者同士が対面することもあります。(顔を合わせたくないことを調停委員に伝えておけば配慮されます。)

step3:調停を繰り返す

この遺産分割調停では、1か月に1回ほど裁判所に出向いて合計5回ほど自分の主張を伝えることになります。

しかし、遺産分割内容がまとまらなければ申立人と相手方双方が裁判所に足を運ぶことを繰り返さなければなりません。そうなると調停が決着するまでの期間も長くなります。

遺産分割調停が決着するまでの審理期間は最短で3か月ほど、平均では1年ほどです。割合としては少ないのですが2年や3年を要した例もあります。

遺産分割の内容に納得できない場合には、どの点が納得できないのか、そのつど自分の意見を伝えることが大切です。

step4:調停調書を作成し、財産を取得する

調停で遺産分割についての話し合いがまとまれば調停調書が作られます。この調停調書は確定した判決と同じ効力を持っています。また、債務名義として強制執行をおこなえる強い力もあることも頭に入れておきましょう。

たとえば、不動産登記をおこなう際には単独で所有権の移転登記をすることも可能です。

調停調書が作成された後は相続人1人1人が財産を受け継ぎ、遺産相続の手続きは完了します。

step5:調停でまとまらない場合は遺産分割審判(裁判)に移る

もしも遺産分割調停でも話し合いが成立しなかった場合には、「遺産分割審判」に移行することになります。申立人が申し立てを取り下げない限りは審判の手続きがなされます。

審判手続きとは、申立人・相手方から提出された書類や証拠、家庭裁判所調査官の行った調査の結果などにもとづき、裁判官が判断を決定することです。

審判が始まると申立人と相手方双方が遺産分割に関する主張をおこないます。

遺産分割調停の必要書類は大きく分けて3種類

遺産分割調停をおこなう際に必要な書類は大きく分類して3つあります。3種類の書類を準備をるとどの書類がどの内容か混同する人もいるため、それぞれの書類内容を把握しておきましょう。

遺産分割調停を開く際の必要書類は以下の3種類です。

  • 遺産分割調停申立書
  • 遺産分割調停に添付する5つの書類
  • 証拠書類

必要書類1:遺産分割調停申立書

遺産分割調停申立書は遺産分割調停で基本となる書類です。家庭裁判所にはシンプルな内容の書式も用意されています。

この書式ひな形は裁判所のホームページからダウンロードして使うことも可能です。

必要書類2:遺産分割調停申立書の添付書類

遺産分割調停申立書には5つの添付書類が必要です。

  • 1:申し立ての実情
  • 2:当事者目録
  • 3:遺産目録
  • 4:相続関係図
  • 5:特別受益目録

1.申立ての実情

申立の実情とは、遺産分割における具体的な内容を書いた書類です。遺産分割調停申立書がとてもシンプルな記載内容なので、この書類は遺産分割調停申立書を補う役目をになっています。

2.当事者目録

当事者目録にはすべての相続人の住所、氏名、生年月日、本籍・被相続人との続柄を書きます。

3.遺産目録

遺産目録とは、遺産分割の対象となるすべての財産を記載する書類です。遺産の数量、有価証券や美術品などの価値、土地の持ち分などの正確な詳細を記載します。不動産の登記内容も同様です。

4.相続関係図

相続関係図にはそれぞれの相続人同士にどのような相続関係があるのかが示されています。

5.特別受益目録

特別受益目録とは、故人から生前贈与や遺贈によって受けた特別な利益を記載する書類です。

遺産分割調停に必要な書類の書式ひな型は、家庭裁判所でもらうことができます。ただし、家庭裁判所に用意されている「遺産目録」の書式は土地、建物、現金、預貯金、株式などに分けられているので注意が必要です。

各書類の書式ひな形は裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。

※弁護士に依頼した場合、上記の書類は全て弁護士が準備・作成を行ってくれます。

必要書類3:証拠書類

遺産分割調停には証拠書類も欠かせません。証拠書類とは相続人の主張することを証明することができる書類です。

たとえば、預貯金の金額・土地の面積などがこれに該当します。預貯金額の証明であれば各金融機関で証明書類を、不動産であれば不動産登記簿、固定資産額評価証明書等の書類が必要になります。

遺産分割調停にかかる費用

相続人全員が納得する形で遺産分けができるようにおこなう遺産分割調停ですが、かかる費用は大きく分けると2つあります。

  • 調停の申し立て費用
  • 調停手続きを弁護士に頼む費用

調停の申し立て費用:1万円~3万円

遺産分割調停の申立て費用自体は、
・収入用紙1,2000円
・相続人の人数による郵便切手1,700円程度(各裁判所の定めによります)
のみのため、1万円~3万円程度と考えておけば問題ありません。

弁護士費用:30万円~(取得財産の4~16% )

遺産分割調停をするにあたって弁護士に依頼する場合、主に「着手金」「報酬額」の2つがかかってきます。事務所によっても異なりますが、30万円以上かかることが多いです。

以下は調停によって得られる経済的利益額に対する着手金と報酬額の一例になります。

経済的利益額 着手金 報酬額
300万円以下 8% 16%
300万円以上3,000万円以下 5%+9万円 10%+8万円
3,000万円以上3億円以下 3%+69% 6%+138万円
3億円以上 2%+369万円 4%+738万円

1点注意しなければいけないのは、この費用は依頼する弁護士に依頼者(申立人)が支払うものですので、相手方の言い分が不当だと感じても、相手方に負担させることはできないということです。

遺産分割調停をするうえでの弁護士の選び方

もちろん遺産分割調停の手続きは相続人個人でも可能ですが、弁護士に依頼する場合、弁護士は慎重に選ぶ必要があります。

感情も入る相続人同士の遺産分けで冷静に対応できる、同じような遺産分割調停を多く経験したことがあるなどの条件は最低限だと覚えておきましょう。

その他には相続人側の気持ちを考えて親身になってくれそうな人か、話しやすい人、また弁護士費用が明確に示されているか、などを弁護士選びの条件に選ぶことが重要になります。

遺産分割調停の期限

遺産分割調停をおこなうために、特に決まった期限はありません。しかし、遺産分割調停を考えている相続人は相続税申告期限である相続開始日から10か月までの間に調停をすることが望ましいです。

というのも、もしも相続税申告期限の10か月間を過ぎてしまったら、相続税の減税制度が適用でされず支払う税金が高くなってしまうこともあるからです。このため、10ヶ月以内に遺産分割をできないことが見込まれる場合には法定相続分に則って、一旦相続税を収めておくなどの対応が取られることが多いです。

また、故人が亡くなってから時間が経ちすぎると、相続放棄や遺留分請求*などの手続きができなくなる場合もあるので注意しましょう。

遺留分請求*…法律で定められた相続財産の最低補償額が遺言等によって侵害されている場合に、侵害分の請求を行うこと

遺産分割調停 まとめ

多くの人が気になる「遺産分割調停」について以下の内容を解説しました。

・遺産分割調停は話がまとまりやすかったり相続人同士が直接話し合わずに済んだり、公平に遺産分割できるという3つのメリットがある

・遺産分割調停には費用、手間、時間がかかるという2つのデメリットがある

・遺産分割調停には30万円以上の費用がかかることが多い

・遺産分割調停を選ぶなら弁護士選びも慎重にする

遺産分割調停は、相続人だけで遺産分割協議がまとまらない場合などに役立つ調停です。初めての遺産分割には何かと困りごとや心配ごともあるもの。公平な遺産相続をして相続人同士でもめないためには遺産分割調停を選ぶこともおすすめです。

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