遺留分とは?認められる人・ケースや注意点まで分かりやすく解説します!

「遺留分ってどんな制度?知りたい」

遺産が手に入らず不安だったが、遺留分という制度を使えば自分の遺産を手にすることが可能だと聞いた。ただ、難しい制度だからよく分からないですよね。

そこでこの記事では、
・遺留分とは何か
・遺留分が認められる相続人、認められない相続人
・遺留分の対象となる3つのケース
について図解を用いながら分かりやすく解説しています。

さらに、「遺留分を請求する方法」や「遺留分を請求する際の注意点」についても解説していますので、相続財産を得るために何をすれば良いかが分かります。

遺留分について理解して遺産を少しでも受け取るために、この記事がお役に立っていれば幸いです。

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遺留分とは

遺留分とは

遺留分とは、遺産の不平等な配分が行われた際に遺族が最低限の遺産を手にすることができる制度です。

具体的には下記のような場合に、相続人が主張することで一定の財産を取り戻すことができます。

  • 遺言によって長男や愛人に全ての遺産を譲るよう書かれていた
  • 相続人の中の1人が生前贈与で多額の遺産を手にしていた

しかし、ここで注意したいのは、故人の家族であれば全ての人が遺留分を主張できるというわけではないということです。では、遺留分が認められるのはどういった人かについて次に解説していきます。

遺留分が認められる相続人と認められない相続人

遺留分が認められる相続人は配偶者・直系卑属・直系尊属

図からもわかるように、遺留分が認められるのは以下の相続人です。

  • 配偶者
  • 子どもや孫などの直系卑属
  • 親や祖父母などの直系尊属

直系卑属とは、子どもや孫など自分よりも後の世代の直系する親族のことを指し、これには養子も含まれます。また直系尊属とは、親や祖父母など自分より前の世代の直系する親族のことを指し、これには養父母も含まれます。

なお、あくまで法定相続人に限られますので、子どもがいる場合など親が法定相続人にならない場合は直系尊属である親あっても遺留分は認められませんので注意が必要です。

遺留分が認められない相続人は兄弟姉妹や甥姪

兄弟姉妹や甥姪は遺留分を主張することができません。兄弟姉妹は通常であれば法定相続人の第3順位とされているので遺留分の主張ができそうなものですが、認められることはないです。

また、相続放棄をした、相続欠格になった、相続排除になったという人は配偶者や直系卑属、直系尊属であっても遺留分を主張することはできません。

相続放棄とはその名の通り、相続を放棄することです。相続欠格とは、遺産を相続するために被相続人を殺害するなどした人のことで、相続人としての資格が剥奪されます。また、行動に問題があるなどして、被相続人の意思によって相続人の資格を失うことを相続排除と言います。

遺留分の対象となる3つのケース

遺留分の対象となる3つのケース

遺留分の対象となるのは以下の3つのケースです。

  • 遺贈
  • 死因贈与
  • 生前贈与

それぞれどのようなケースか詳しく解説していきます。

遺贈

遺贈とは、遺言によって被相続人の財産を引き継ぐです。例えば、「愛人に全ての遺産を譲る」という遺言が残されていたとします。この遺言に従えば、配偶者をはじめ残された遺族は何も手にすることができません。

この遺言のように不公平な遺産相続が行われた場合には遺留分侵害の対象となり、遺留分を請求することができます。

死因贈与

死因贈与とは、被相続人が生前に「被相続人が死亡した後に、指定した財産を指定した人物に贈与する」といった内容の契約を行うことです。遺贈と似ていますが、最も違うのは遺贈は被相続人が一方的に行う意思表示なのに対して、死因贈与は被相続人と相続人が合意のもとで相続するという点にあります。

例えば、「俺が死んだ後は、会社も家も全て長男であるお前が引き継ぐんだ」と生前に契約をしていたとします。このケースでは長男だけが多くの遺産を手にしており、配偶者など他の遺族にとって不平等な相続になるので遺留分を主張することが可能です。

生前贈与

生前贈与とは、被相続人が生前に行った贈与のことです。遺贈や死因贈与はその全てが遺留分の対象となりますが、生前贈与は基本的に相続が開始される前の1年間に贈与されたものに限られます(特別受益に該当するものは相続開始前10年間)。

例えば、3人兄弟で末っ子だけが故人から生前に家や車を購入してもらっていたとします。残りの遺産を遺族で平等に分配すると、末っ子だけが故人から多く受け取っているという状況です。そのため、生前に末っ子が受け取った家や車は遺留分の対象になります。

遺留分の割合と計算の具体例

自身が遺留分が認められる相続人であり、なおかつ遺留分の対象となる贈与が行われているとわかった場合に、どれだけの相続を受け取ることができるのでしょうか。遺留分が認められる割合と計算方法について解説していきます。

遺留分は「総体的遺留分」と「個別的遺留分」で計算される

遺留分がいくらか計算をする際には、「総体的遺留分」を算出し「個別的遺留分」を割り当てて計算する必要があります。

総体的遺留分とは「相続全体でどの程度遺留分として認められるか」というものです。配偶者や子どもが相続人の場合には、遺産全体の2分の1が総体的割合になります。親や祖父母など直系尊属のみが相続人の場合には、遺産全体の3分の1が総体的割合になります。

以下の表は総体的遺留分と個別的遺留分の割合についてまとめたものです。

相続人 遺留分合計 配偶者の

遺留分

子どもの

遺留分

親の

遺留分

兄弟の

遺留分

配偶者のみ 2分の1 2分の1
配偶者とこども1人 2分の1 4分の1 4分の1
配偶者と親 2分の1 3分の1 6分の1
配偶者と兄弟 2分の1 2分の1 0
子どものみ 2分の1 2分の1
親のみ 3分の1 3分の1
兄弟姉妹のみ 0 0

ここからは、具体例を用いて解説していきます。

遺留分の計算の具体例

具体例として男性が1億2,000万円の遺産を残して亡くなったが、その全てをA財団に寄付する旨の遺言を残したとします。これから示す4つのケースで各相続人の遺留分がいくらになるのか計算していきます。

ーケース1:相続人が配偶者のみの場合

相続人が配偶者のみの場合には総体的遺留分は2分の1です。つまり遺産全体の中から6,000万円が遺留分として認められます。そして、相続人が配偶者しかいないため個別的遺留分も2分の1のままとなるので、配偶者の遺留分は6,000万円です。

ーケース1:相続人が配偶者のみの場合

ーケース2:相続人が配偶者と子ども2人の場合

相続人が配偶者と子ども2人の場合も総体的遺留分は2分の1なので、遺産全体の6,000万円が遺留分として認められます。個別的遺留分は配偶者も子どもも2分の1なので、配偶者は6,000万円×2分の1で3,000万円、子どもは6,000万円×2分の1×2分の1で1,500万円ずつが個別的遺留分です。

ーケース2:相続人が配偶者と子ども2人の場合

ーケース3:相続人が配偶者と親の場合

相続人が配偶者と親の場合、親がいますが配偶者も相続人であるため総体的遺留分は2分の1となり、遺産全体の6,000万円が遺留分として認められます。そして、親の個別的遺留分が3分の1なので6,000万円×3分の1で2,000万円が親の遺留分として認められ、残りの6,000万円×3分の2の4,000万円が配偶者の遺留分です。

ーケース3:相続人が配偶者と親の場合

ーケース4:兄弟姉妹のみ

亡くなった男性が結婚をしておらず、また親も亡くなっていた場合に法定相続人が兄弟姉妹のみという場合もあるでしょう。しかし、そのような場合であっても兄弟姉妹が遺留分を主張することはできません。よって、この場合1億2,000万円全てがA財団に寄付されます。

ーケース4:兄弟姉妹のみ

遺留分侵害額請求を行う3つの方法

遺留分侵害額請求を行う3つの方法

遺留分が侵害されていると判明した場合には、遺留分侵害額請求を行うことができます。遺留分侵害額請求を行う方法は以下の3つです。

  • 当事者間での話し合い
  • 家庭裁判所での調停
  • 地方裁判所での訴訟・裁判

では、遺留分侵害額請求を行う方法について詳しく解説していきます。

当事者間での話し合い

まずは、遺留分について当事者間で話し合いを行いましょう。当事者間の話し合いで穏便に進められれば裁判所を介さず済み、お互いに大きな費用をかけることなく遺留分侵害額請求を行うことができます。

ただし、話し合いが穏便に進みそうでも後述する時効があるため、内容証明郵便を送って時間切れを回避しましょう。無事に話し合いで解決できれば「遺留分侵害額についての合意書」を作成し、遺留分を返還してもらいます。

家庭裁判所での調停

当事者間の話し合いでは解決できない、そもそも話し合いに応じてもらえないという場合には、家庭裁判所で調停を行うことができます。調停に入れば調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら話し合いが進められていきます。

話し合いとは言っても、別々に調停委員に主張を述べるので相手の方と顔を合わせることはありません。双方の主張をもとに調停委員が解決策を導いてくれるので、お互いに納得すれば合意しましょう。調停での合意は裁判の判決と同じ効力があるため、相手からの支払いがなければ強制的に取り返すことも可能です。

裁判所での訴訟・裁判

調停が成立しなかった場合には、遺留分侵害額請求を地方裁判所に申し立てます。お互いの主張や提出書類などをもとに判決がでます。

調停との大きな違いは、裁判は話し合いではないため判決内容に双方の合意を必要としない点です。裁判官が判決を出した時点で効力を発揮します。ただし、裁判となっても裁判官が双方の状況などを考慮し、和解が提案されることも少なくありません。

判決内容に相手(もしくは自分)が納得できなければ控訴することもできます。よって、控訴されればさらに時間と費用がかかることは理解しておかなければなりません。

遺留分侵害額請求を行う際の3つの注意点

遺留分侵害額請求を行う際の3つの注意点

ここまで遺留分について、また遺留分侵害額請求の方法について解説してきました。遺留分が認められ少しでも故人の遺産を相続することが可能です。しかし、遺留分侵害額請求には注意点もあります。注意点も考慮した上で請求を行うようにしましょう。

遺留分侵害額請求権には時効がある

遺留分侵害額請求には時効があります。

  • 相続開始の事実と不公平な遺留分があると知った日から1年間
  • 相続開始から10年

1年というと期間としては短いので、時効が成立しないよう内容証明郵便を送り遺留分を主張しておく必要があります。また、相続開始から10年が経過したら一切請求できなくなるので、その後に遺留分の存在を知っても請求することはできません。

長期化を覚悟しなければならない

当事者間の話し合いでスムーズに進めば問題ないですが、話し合いが進まない、調停や裁判になってしまうとなると多くの時間を要します。長期化することでその分費用がかかることはもちろん、精神的なストレスも相当なものです。

相手が徹底的に争う姿勢を示しているのであれば、長期化を覚悟して準備しておくようにしましょう。

金銭による賠償のみで土地などの不動産を得ることはできない

遺留分侵害額請求は金銭による賠償のみです。遺産には金銭だけでなく土地や車、高価な美術品などさまざまな不動産が含まれます。しかし、遺留分として不動産自体を取り返すことができるわけではありません。受け取ることができるのはその評価額相当の金銭のみです。

例えば、金銭が欲しいわけではなく、父が大切にしていた絵画だけは手元に置いておきたいと思ったとします。しかし、遺留分侵害額請求を行なったとしてもその絵画を取り戻せるわけではないので、このような場合には時間と費用の無駄になってしまうということです。

まとめ

遺産相続では大前提として、法定相続よりも遺言が優先されるものです。そのため、いくら相続人にとって不公平に思える遺言書であっても、遺言自体を無効にすることはなかなかできるものではありません。

しかし、遺留分が認められれば、相続を手に入れることができます。遺留分について理解し、遺留分の対象であれば時効を迎える前に請求を行いましょう。ただし、長期化する可能性があること、金銭による賠償のみであることを忘れてはいけません。

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