代襲相続とは?相続人になった場合のトラブル対応法を分かりやすく解説!

代襲相続とは相続人が死亡するなどして次の世代の人が相続人になることです。代襲相続は法定相続人が死亡、廃除、欠格によって相続権を失ったときにおこります。

被相続人(亡くなった人)に子供がいたけれど被相続人の死亡前に亡くなっていた場合に、子供の子供(被相続人の孫)がいれば亡くなった子供に代わって孫が相続人になります。

このような例を代襲相続と言います。代襲相続は相続人が相続が開始する前に亡くなった時に次の世代の人が相続権を引き継ぐ制度です。

*相続欠格(民法891条)
故意に被相続人を殺害したりして刑に処せられた者から相続権を剥奪する制度です。

*相続廃除(民法892条・893条)
被相続人を虐待したり侮辱したりしたことにより被相続人自らが生前に家庭裁判所に請求して相続人から除外することをいいます。

法定相続分の割合

法定相続人の組み合わせによってそれぞれ誰がいくらの割合で相続するか(相続分)が民法に定められています。

配偶者 兄弟姉妹
配偶者と子 1/2 1/2
配偶者と親 2/3 1/3
配偶者と兄弟姉妹 3/4 1/4

代襲相続人は、相続権を失った本来の相続人の相続分を引き継ぎます。

孫の場合

孫が代襲相続人の場合は子(孫の親)の相続分を引き継ぎます。例えば夫(A)が死亡し、その妻(B)と子供二人(C・D)が相続人の場合を想定しましょう。配偶者である妻(B)は2分の1、子供二人(C・D)は2分の1を半分ずつ(4分の1)相続します。子供Cが被相続人である夫(A)よりも先に亡くなりCに子供E・FがいるときはE・Fが、本来Cが相続するはずだった相続分4分の1を等分して8分1ずつを相続することになります。

直系卑属の場合は何代までといった制限がないため子が亡くなっていれば孫、孫が亡くなっていればひ孫と下の代が途絶えるまで代襲相続が続きます。

甥・姪の場合

兄弟姉妹の場合はその子(甥や姪)で代襲相続は終わります。

法定相続分の割合は先に見た通りに、亡くなった人の家族を中心にまとめるように相続分の割合を調整しています。

子供(直系卑属)がおらず、親(直系尊属)がいない場合に兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が被相続人の死亡より前になくなっていれば代襲相続になりますが、兄弟姉妹の場合は甥や姪までが代襲相続できる限界です。

兄弟姉妹の場合に代襲相続できる範囲を子供までに制限することで、生存する配偶者が多く相続できることになり、亡くなった兄弟姉妹に子供がいない場合には配偶者が100%相続します。

税金はどれくらい取られるのか?

相続が発生すれば相続税を納めることになります。ただし、相続財産が基礎控除額に満たない場合は非課税になるため相続税はかかりません。

相続財産から基礎控除額を差し引いた残額に対して相続税が発生します。

基礎控除の仕組み

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

法定相続人が3人の場合は

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

が基礎控除額です。

相続財産が4,000万円であれば相続税は非課税であり、5,000万円であれば基礎控除額との差額200万円に対して相続税が課税されます。

法定相続人の数が基礎控除額に影響しますので、法定相続人の範囲はどこまでかを注意しましょう。

代襲相続や相続放棄があった場合、養子縁組の場合など民法上の相続人と税法上の相続人は異なることがありますので注意しましょう。

事例

相続税を計算するうえで、代襲相続や相続放棄があった場合、養子縁組の場合など相続人として数えることができるのかを確認しましょう。

1.代襲相続の場合

代襲相続人は相続人として数えます。

例えば1人の子供が死亡し、その子に子(孫)が2人いて代襲相続をした場合の相続人は1人ではなく2人として控除額を計算します。

2.相続放棄の場合

相続放棄をすれば相続権を失うので、相続人ではありません。

ところが、相続税のうえでは相続放棄をした人も相続人として控除額を計算します。

なお、相続放棄を行った場合は、代襲相続はできないので注意が必要です。

3.養子縁組の場合

被相続人に実子がいる場合は養子が何人いても養子は1人として計算します。

被相続人に実子がいないときは、養子は2人まで子として数えます。

また、代襲相続人が被相続人の養子となっている場合は、二重相続資格者といいます。その場合、相続人としての地位は養子(子)と代襲相続人(孫)の2種類ありますが税法上は1人として数えます。

ただし、民法上で相続分の計算をするときは子(養子)としての相続分と代襲相続人(孫)としての相続分との合計になります。

このように税法上の相続人と民法上の相続人とは異なるため、代襲相続や相続放棄、養子縁組の場合に相続人として数えてよいのか判断が難しいことがあります。

第15条《遺産に係る基礎控除》関係|国税庁

注意すべきケース

預貯金や株式などを相続する際に相続人が複数いるとき、法定相続分通りに相続しない限りは相続人全員で遺産分割について話し合い(遺産分割協議)を行なう必要があります。

しかし、遺産分割協議は相続人が増えるほど話し合いがまとまりにくいのが実情です。

代襲相続が発生して普段面識がない人が相続人になればますます話し合いがまとまりにくくなるおそれがあり、また代襲相続人に連絡したくても連絡先がわからないこともあります。

不動産の代襲相続

不動産について注意すべきことは2024年をめどに相続登記が義務化されることです。

相続が開始したこと(被相続人の死亡の事実)を知り所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続による所有権移転の登記を申請しなければならなくなります。

例えば、遺産分割で所有権を取得したときは、分割の日から3年以内に登記をすることになります。もしも、正当な理由がないのに相続登記をしない場合は10万円以下の過料を科されるおそれがありますので注意しましょう。

また自宅を複数の相続人が別々に分けて相続することは難しいことです。

例えば、一つの土地を分筆して別々の土地として相続することは可能です。

しかし、自宅の敷地を分筆して相続しても小さな土地やいびつな土地になってしまい、売却しても価値が出ない土地になってしまうことがあります。

また、1戸の建物を別々の建物にすることはできません。

*分筆とは一つの土地を複数の土地に分ける登記手続のことです。土地は1筆、2筆と数え、土地を分けることは「筆」を分けることなので分筆と言います。

このように相続人が増えるほど不動産の相続は難しくなるため、代襲相続がおこったときやおこるおそれがあるときは、話し合いができる相続人の間で相続手続きをなるべく早いうちにすませましょう。

養子の場合の代襲相続

養子であっても子供ですから相続人になります。

ただし、養子の子が代襲相続人になるかは養子縁組の日と子供の生まれた日の先後によることに注意しましょう。

養子縁組前に生まれた養子の子は、被相続人の『直系卑属』ではありません。

そのため、被相続人と養子縁組をした後に生まれた子供は代襲相続人になりますが、養子縁組をするより前に生まれていた子は代襲相続人になりません。

養子の子供は全て代襲相続人になるのではなく、被相続人と養子とが養子縁組をした後に生まれた養子の子のみが代襲相続人になります。

トラブル事例

代襲相続がおこり、どのような問題がおこるおそれがあるかを紹介します。

1.親が亡くなり親と同居していた子(A)と別に住んでいる子(B)がいて別居している子(B)が亡くなりBの子(孫)が代襲相続した場合

Aは親と最期まで同居して親の面倒をみていたし、実際に親の自宅に住んでいます。

親の財産を全てAが管理しており、相続財産がどれくらいあるものかさえも代襲相続人であるBの子供には教えてもらえない事例があります。

2.相続人である子が離婚していて離婚した前妻との間の子供(孫)は前妻が引き取っていることがあります。

この場合前妻との子供とまったく疎遠になってしまい、連絡先さえもわからないこと、連絡先がわかっても感情的に話し合いに入ってもらえない事例があります。

3.父親が亡くなった際に相続放棄をしたけれど代襲相続によって改めて相続放棄をしなければならなくなることがあります。

叔父が亡くなったので代襲相続人になったために、叔父の債権者から支払い督促が送られてきたような事例です。

このケースでは父親の相続放棄をしても被相続人が異なるので叔父の相続についても改めて相続放棄の手続きをしなければなりません。

このように代襲相続によって、相続関係が変わってくるため相続が複雑で難しくなることがあります。

代襲相続になった場合の対応方法

親や兄弟姉妹が元気なうちに、なるべく世代をまたがらずに相続についての話し合いをすませておければ安心です。

亡くなる前(話し合う、遺言を書いて貰う、生前贈与する)

親が元気なうちに相続について話し合い、必要なら遺言書を書いてもらうことや生前贈与することも相談してみましょう。

親が高齢になればいずれは相続が発生します。

兄弟姉妹が思わず親よりも早く亡くなってしまうこともあります。

相続人の数が多くなれば、それだけ遺産分割の話し合いがまとまりにくくなります。

代襲相続によって普段連絡をとらなくなっている疎遠の人達が話し合うことは、遠距離に住んでいることもあったり感情的な理由もあったりして、なかなか分割協議がすすみません。

親が元気なうちに亡くなった時のことを話し合うのははばかられますが、できるだけ話し合っておきましょう。

なにより、日ごろから相続人の間でコミュニケーションをはかり、スムーズな人間関係を築いておくことが大切です。

兄弟姉妹の間では連絡を頻繁にとりあっていても、甥や姪となるとお互いに遠慮がちになり連絡をとらなくなってしまうことがあります。

兄弟姉妹が亡くなっていれば代襲相続になりますので、相続の話し合いも甥や姪を含めて普段から行なうことが大事です。

相続人にはさまざまな事情があります。

親の事業を引き継ぐ人、最期まで親の面倒をみて看取る人、いろいろです。

親の意思によって継がせたい財産や相続人を指定する遺言書を残すこともできます。

妻が住む自宅だけは妻のために確保したい場合には妻に相続させる遺言書を書くことも、妻に生前贈与を行なうこともできます。

夫婦間であれば条件にあえば贈与税を非課税にして贈与することも可能です。

また相続財産によっては相続時精算課税制度を利用して有利に生前贈与を行なうこともできます。

相続は、受け入れがたい死亡と直結する話題で話し合うことが難しい話題ですが、いつかは訪れる事実です。

普段から準備をしておけば万が一の時にあわてることがありません。

亡くなった後(弁護士に無料相談)

相続が開始し、誰が遺産を相続するかの話し合いがまとまらず、紛争になってしまうことがあります。

相続財産を複数の相続人が相続した場合には、遺言があれば遺言書にしたがって相続し、遺言がなければ法定相続分通りに相続する以外は遺産分割の協議を行なうことになります。

遺産分割協議がととのわなければ家庭裁判所で調停や審判をしなければなりません。

遺産分割調停は話し合いの延長ですが、審判は裁判の一種になるため相続人それぞれが自分の思いを主張して証拠を提出することになります。

遺産分割協議から審判までは相続人のメンバーが変わらず一連の手続きですので、一貫した主張が必要です。途中でつじつまが合わず矛盾する主張をすると不利になります。

長期的な視点にたって話し合いを行う必要があるため、紛争になるおそれがある場合には早めに弁護士に相談しておくと安心できます。

弁護士に依頼することで、話し合いの過程をわかりやすく説明してもらえ、アドバイスやリスクを教えてもらえるメリットがあります。

弁護士に依頼するには費用が必要ですが、初回の相談は無料の弁護士も多くありますので、まずは気軽に相談してみましょう。

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