相続税申告を自分で行う方法や申告書の作り方、土地の評価方法等について解説
相続税の申告は、人生で何度も経験することではありません。そのため、相続税申告は税理士に頼むものという考えがまだまだあります。しかし、相続税申告は税理士に必ず依頼しなければいけない手続きではなく、自分で行うことができます。
今回は相続税申告を自分で行う方法やメリット、自分でできるかどうか、税務調査等について解説します。自分で相続税の申告を行うことを検討している方は参考にしていただけますと幸いです。
目次
- 相続税申告とは?|基礎控除額以下なら相続税申告が不要
- 相続税申告を自分で行うやり方を解説
- 相続税を自分で申告する時の必要書類
- 相続税申告を自分で行う際、不明点は税務署へ相談
- 相続税申告を自分で行うメリットは税理士費用を抑えられること
- 相続税申告を自分で行うデメリット
- 相続税申告を自分でできるケース・自分では難しいケース
- 相続税申告において自分で土地評価を行うのは難しい?
- 相続税を自分で申告する場合、税務調査が入る?
- 国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーがないため注意
- 相続税申告を自分で行った割合
- 相続税申告を自分でやってみた人のブログをご紹介
- 相続税申告を自分で簡単に行うならbetter相続申告がおすすめ
相続税申告とは?|基礎控除額以下なら相続税申告が不要
相続税申告とは、相続した遺産に対して相続税が課される場合、その相続税額を税務署に申告する手続きのことです。
申告の対象となるのは、遺産総額(相続した財産-相続した債務等)が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合です。なお、遺産総額を算出する際、小規模宅地等の特例等の減額を行う前の評価額で計算をします。
遺産総額が相続税の基礎控除額以下の場合、相続税申告を行う必要がないため、自分で手続きを行うことや税理士へ依頼する必要はありません。
小規模宅地等の特例や配偶者控除等を使って相続税が0円になる場合でも、遺産総額が相続税の基礎控除額を超えている場合は相続税申告が必要となります。
相続税申告を自分で行うやり方を解説
相続税申告を自分で行う際のやり方について解説します。
どのような流れで行うのかぜひご確認ください。
法定相続人を確定させる
まずは亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集し、法定相続人に該当する方を調査します。法定相続人が確定しなければ、相続税申告の要否判定に必要な基礎控除額の算出ができません。
また、遺産分割協議を行った後から新たに相続人が判明した場合、遺産分割協議がやり直しになる可能性もありますので、相続人の調査は必ず行いましょう。
なお、誰が相続人となるのかについては、優先順位があり、誰が亡くなっているのか、実子や養子の有無によっても異なります。相続人については以下の記事をご参照ください。
申告が必要な財産や債務を洗い出す
次に申告が必要な財産や債務を洗い出します。財産の洗い出しは細かく行う必要があり、おろそかにすると後から財産が見つかったり、申告が必要だとは知らなかった財産が出てくる可能性があります。
後から見つかった財産により基礎控除額を超えて申告が必要になってしまったり、申告後に新たな財産が見つかり修正申告が必要になる可能性があるため、財産の洗い出しは細かく行いましょう。
申告が必要な財産や債務の例は以下の通りです。詳細は『better相続申告』内で解説しています。無料でお試しできますので、お気軽にご登録ください。
預金 | 名義預金 | 株式等 | 保険 |
現金 | 不動産 | 貸付金 | 死亡退職金 |
年金 | 未収金 | 家財 | 生前贈与 |
借金 | 未払金 | 葬儀費用 |
相続税申告に必要な書類を集める
相続税の対象となる財産を洗い出す際や、相続税申告書を税務署に提出する際に必要となる書類を収集します。
必要書類を収集することで、故人の自宅では見つけられなかった財産を発見したり、財産がどれくらいあるのか把握したりすることができます。
また、税務署に提出が求められていたり、相続税申告書や財産の評価明細書に記載した内容を証明するために必要となりますので、欠かさず収集する必要があります。
財産の評価を行う
財産の洗い出しや資料の収集が完了したら、相続する財産の評価を行います。財産の評価方法は財産の種類によって異なるため、それぞれの評価方法について調べ、適切な金額で算出する必要があります。
評価額を算出し、遺産総額が相続税の基礎控除額以下になった場合、相続税申告が不要となるため、手続きはここで終了となります。
財産の評価方法を間違えると税務調査や相続税の過払いにつながってしまいますので、しっかりと確認しながら適切な計算を行いましょう。
財産の種類 | 評価の見積もり方法(概略) | |
現金 | ・手許保有額 | |
預貯金 | ・普通預貯金:預入残高 ・定期預貯金:預入原本+(既経過利息ー源泉徴収税) |
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有価証券 | 上場株式 | ・市場価額をもとに評価 |
公社債 | ・市場価額や発行価額をもとに評価 | |
証券投資信託 | ・基準価額をもとに評価 | |
非上場株式 | ・会社の利益・配当・資産額、医療法人は利益・資産額により計算し評価 | |
生命保険 | ・死亡保険金 ー(500万円×法定相続人の数) | |
死亡退職金 | ・死亡退職金 ー(500万円×法定相続人の数) | |
不動産 | 土地 | 宅地の場合 ・自用地:路線価×地積 ・貸宅地:路線価×地積×(1ー借地権割合) ・貸家建付地:路線価×地積×(1ー借地権割合×借家権割合×賃貸割合) ※ 上記以外にも倍率方式による評価方法があります。 |
借地権 | ・自用地としての価額×借地権割合 | |
家屋 | ・自用:固定資産税評価額 ・貸家用:固定資産税評価額×(1ー借家権割合×賃貸割合) |
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その他 | 家庭用動産 | ・時価 |
ゴルフ会員権 | ・取引相場×70% | |
その他の財産 | ・書画、骨董、貴金属は時価 | |
債務等 | 債務 | ・債務残高、未払金額 |
葬儀費用 | ・支払金額 |
遺産の分割を行う
評価額の算出が完了したら、遺産分割を行います。遺言書がある場合はその内容に従いますが、ない場合は相続人で話し合い、分割方針を決定します。
特に、配偶者が健在の場合、誰がどのように財産を相続するのかによって、将来の二次相続時の相続税額が変わるため、相続人の意向はもちろん、税額も考慮して分割することをおすすめします。
遺産分割協議が完了したら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名押印します。
相続税申告書を作成する
遺産分割の方針が決まり、遺産分割協議書の作成も完了したら、相続税申告書を作成します。国税庁が用意している記載例に従って、必要な帳票に情報を記入します。
相続税申告書は国税庁のホームページで様式をダウンロードしたり、税務署で入手することができます。国税庁のホームページや税務署で入手した場合、手書きで申告書を作成することになります。
相続税申告書を作成するためのソフトもあり、利用すると入力した情報を基に自動で申告書を作成することができます。申告に必要な様式を調べたり、手書きで申告書に情報を記載する手間を省くことができるため、相続税申告にかける時間を短縮することができます。
税務署へ申告書を提出し、納税を行う
作成した相続税申告書や必要書類を一緒にまとめて管轄の税務署へ提出します。提出後、相続税申告書に記載してある相続税額を納めて手続きは完了となります。
相続税申告書の提出と納税を、相続が発生してから10か月以内に行う必要があり、申告期限を過ぎると小規模宅地等の特例や配偶者控除等の税制優遇を受けられなくなったり、延滞税等の余分な税金が発生してしまう可能性があります。
相続税を自分で申告する時の必要書類
相続税申告を自分で行う際に必要な書類は以下の通りです。
詳細は『better相続申告』内で解説しています。無料でお試しできますので、お気軽にご登録ください。
財産の種類 | 必要書類(例) | |
現金 | – | |
預貯金 | ・残高証明書 ・預金証書 ・通帳 |
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有価証券 | 上場株式 | ・株式財産証明書または 証券会社の保護預り残高表 |
公社債 | ・残高証明書 ・証書 |
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証券投資信託 | ・残高証明書 ・証書 |
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非上場株式 | ・発行会社の過去3年間の決算書、法人税の確定申告書 ・株主名簿 |
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生命保険 | ・保険会社の支払通知書 | |
死亡退職金 | ・退職手当金の支払調書 ・勤務会社からの最終給与証明 |
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不動産 | 土地 | ・登記事項証明書 ・公図・地積測量図または実測図 ・固定資産税評価証明書 ・土地賃貸借契約書(貸付地の場合) ・路線価図または評価倍率表 |
借地権 | ・土地賃貸借契約書 | |
家屋 | ・登記事項証明書 ・固定資産税評価証明書 ・建物賃貸借契約書(借家の場合 |
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その他 | 家庭用動産 | ・各財産の明細 |
ゴルフ会員権 | ・預託金証書または株券 | |
その他の財産 | ・各財産の明細 | |
債務等 | 債務 | ・金融機関からの借入金残高証明書 ・借用証書 ・固定資産税・住民税の納税通知書、領収証書 ・(準)確定申告書 ・医療費領収書 |
葬儀費用 | ・葬儀関係費用領収書 ・葬儀費用出納帳 ・お布施や心づけのメモ書き |
相続税申告を自分で行う際、不明点は税務署へ相談
相続税申告を自分で行う場合、申告の対象となる財産に漏れが無いか、財産の評価方法は適切か、特例や税額控除の適用要件を満たしているか等を自分で判断する必要があります。
自分で判断できない場合は、税理士や税務署へ相談を行う必要がありますが、相続税申告を自分で行うための相談に応じてくれる税理士はほとんどいないため、一般的には税務署へ相談することになります。
一般的な内容であれば、国税庁の電話相談センターで解決できる場合があります。個別具体的な相談をしたい場合は、相続税の申告書を提出する所轄の税務署で個別面談の予約をすると、資産税部門の職員の方へ相談することが可能です。
ただし、1回の面談に対して時間が限られていることが多く、予約が取りにくい場合もあるので、質問したいことをまとめてから相談することをおすすめします。また、申告が必要な財産の評価方法や、税額控除の対象となるか等の判断が必要な場合には、明確な回答が得られない可能性もあります。
相続税申告を自分で行うメリットは税理士費用を抑えられること
相続税申告を自分で行う最大のメリットは、税理士に依頼する費用を抑えられることです。
税理士に相続税申告を依頼した場合、一般的に、相続財産の0.5~1%が報酬の相場となっています。仮に相続財産が1億円の場合、50~100万円が報酬の相場となります。土地や相続人の人数、申告期限までの日数によっては、さらに高額になる可能性もあります。
自分で相続税申告を行うことにより、税理士に依頼する費用を抑えられるため、数十万円以上の節約を行うことができます。『better相続申告』を使い、自分で相続税申告を行った方は、平均30~50万円の費用を節約できています(※2020年1月〜2024年6月 better相続申告ご利用者様の相続財産の平均額 ×一般的に相続税申告の税理士報酬相場と言われる財産総額の0.5~1%から算出)。
自分のペースで相続税申告を進められる
費用以外のメリットとして、自分のペースで相続税申告を進められるということが挙げられます。
税理士に依頼した場合、税理士の指定した日程までに必要書類を提出したり、面談を行ったりする必要があります。その際のやり取りや日程調整等が不要となるため、自分のペースで相続税の申告手続きを進めることができます。
ただし、相続の開始を知った日(一般的にはお亡くなりになった日)から10か月以内という申告期限は変更できず、期限を過ぎてしまうと特例や税額控除等が受けられなくなる可能性があったり、延滞税等の余分な税金が発生する可能性もあるため、10か月以内に終わらせられるように手続きを進めましょう。
財産を確認しながら相続税申告を進められる
過去の預金の動き等を確認しながら、財産を細かく洗い出し、申告手続きを進める必要があります。その際、どのようなことがあって財産が変化したのかを確認することができます。
財産を確認することで、故人の人生が見え、思い出を振り返ることができた、相続と向き合うことで自分自身の気持ちの整理がついたという意見もあります。
相続税の知識が身につく
相続税申告を自分で行うことにより、財産の評価や相続税の計算方法、手続きの難易度等を把握することができます。それにより、相続税の知識が得られ、将来のご自身の相続対策を行いやすくなります。
例えば、生前に財産を整理することで評価額を減額し将来の相続税を減額したり、分けられない財産は早めに現金にして相続人の負担を減らす、財産の洗い出しが簡単にできるようにまとめておく、死亡保険金の非課税枠等を確認して生前に対策できるか検討する等、相続税申告を自分で行ったからこそ相続人自身や次の世代のために対策が可能となります。
相続税申告を自分で行うデメリット
相続税申告を自分で行う場合、メリットだけでなく、デメリットもあります。
相続税申告を自分で行う時間を確保する必要がある
相続税申告を税理士に依頼した場合、評価額の算出や申告書の作成、税務署への提出まで代行してくれます。自分で相続税申告を行う場合、評価額の算出等も自分で行う必要があるため、税理士に依頼するよりも時間がかかります。
特に、独学で情報を集め、手書きで相続税申告書を作成する場合は非常に多くの時間を確保する必要があります。働きながら自分で相続税申告を行いたい場合は、ソフト等を利用して時間や手間を短縮することをおすすめします。
財産の評価方法や税額控除、特例等の適用可否の判断を自分で行う
自分で相続税申告を行う場合、財産の評価方法、税額控除や各種特例等の適用可否を自分で判断する必要があります。
財産の評価方法を間違えると修正申告が必要となる可能性があります。特に、土地は減額ができる可能性があるため、税額控除特例の適用可否や評価方法の検討を適切に行わないと相続税を払いすぎてしまうかもしれません。
また、税額控除や特例等の要件を満たしていないにもかかわらず、誤って適用して申告した場合、追徴課税の対象となってしまう可能性もあります。
申告漏れがあり、税務調査に入られる可能性がある
財産を細かく洗い出し、相続税の対象となるか否かの判断を自分で行う必要があります。
自分で相続税申告を行う場合、財産の細かい洗い出しができなかったり、名義預金や贈与等の判断を誤ってしまい、申告漏れが起きてしまう可能性があります。
申告が必要な財産について正しい知識を持ち、細かい調査を行うことができれば、自分で相続税申告を行っても、申告漏れが起きる確率を下げることができます。
相続税申告を自分でできるケース・自分では難しいケース
相続税申告を自分でできるケースと難しいケースがあります。
自分で相続税申告できるか迷っている方は、できるケースか難しいケースか、どちらに当てはまっているか参考にしていただけますと幸いです。
評価の難しい財産がある・ない
非上場株式や海外資産等が含まれる場合、評価方法が難しく、誤った評価をして過少申告してしまったり、反対に相続税を払いすぎてしまう可能性もあるため、税理士に依頼することをおすすめします。
なお、FX等の外国通貨や国内の証券会社を通じて購入している株式や債権等は、評価方法が難しくなく、自分で評価を行うことも可能です。
また、評価額が高く、減額の余地が大きい土地がある場合、税理士に依頼し、精緻な計算を行うことで相続税を大きく減額できる可能性があります。
例えば、土地の形が不整形であったり、面積が広大であったり、道路に面していなかったり、がけ地になっていたりしている場合等が該当します。
税理士へ依頼して減額できる相続税額と税理士報酬を比較し、どちらが安いか比較して自分で申告をするか判断することをおすすめします。
なお、小規模宅地等の特例や配偶者控除等で相続税が0円になる場合、土地の評価を精緻に行うメリットがないため、相続税申告を自分で行うことができる可能性が高いです。
財産金額が多い・多くない
財産の内容にもよりますが、財産の金額が数億円以上になると、相続税申告の難易度が高く、相続税の過払いの可能性や税務調査リスクが高くなるのが一般的です。
また、土地をはじめとした財産の評価額の計算による相続税の減額のメリットも大きいため、税理士へ依頼することをおすすめします。
財産の分割で揉める可能性がある・ない
財産の分割で揉める可能性があると、感情的な対立が深刻化し話し合いがまとまらない可能性が高いため、当事者だけで問題を解決するのではなく、専門家に依頼することをおすすめします。
また、相続人同士でトラブルになると、相続税申告の際にも、通常は相続人の連名で相続税申告書を提出するところ、協力して手続きを進めることができず、相続人それぞれで相続税申告書を提出することになる可能性があります。
相続人がそれぞれ別の相続税申告書を提出する場合、申告書の内容が異なっていると税務調査リスクが高くなるため、そうならないためにも税理士等の専門家に依頼することをおすすめします。
相続税申告を自分で行う時間がある・ない
財産の洗い出しから必要書類の収集、財産の評価や申告書の作成等を自分で行う時間を確保できる場合は自分で相続税申告を行うことができます。
書類収集や申告書作成等の時間を確保できれば、働きながらでも自分で相続税申告を行えます。
独学だと多くの時間が必要となりますが、『better相続申告』を利用すると、初めての方でも1~2か月の期間で相続税申告書を作成することができます。
相続税申告において自分で土地評価を行うのは難しい?
土地の形状や立地、貸しているかどうかによって、土地の評価を行う難易度が異なります。
例えば、きれいな整形地であれば、減額の余地が少ないことが多いため、比較的簡単に土地の評価を行うことができます。反対に、土地の形が不整形であったり、面積が広大であったり、道路に面していなかったり、がけ地になっていたりしている場合等は減額の余地があるため、評価額をできるだけ減額しようとすると評価の難易度が高くなります。
しかし、必ず減額しなければならないわけではありません。小規模宅地等の特例や配偶者控除を適用することで結果的に相続税が0円になる場合には、土地の評価額を減額する必要性は低いため、難しい評価方法の検討を省略するという選択肢もあります。
また、そもそも土地の評価額が低く、相続税があまり減額できない場合も同様に、難しい評価方法の検討を省略するという判断もあります。
土地の評価減額によって減額される相続税額と税理士費用を比較する
土地の評価によって抑えられる相続税額よりも税理士へ依頼した時の費用の方が高い場合、相続税申告を自分でやるという選択肢も視野に入れることをおすすめします。
例えば、税理士報酬が50万円、土地の評価減額をしないで算出した相続税額が30万円の場合、いくら土地の評価額の減額に成功したとしても30万円以上の相続税の節税は見込めないため、自分で申告する際よりも20万円多く費用が発生することになります。
土地の評価額や相続税額を算出した上で、税理士の見積りを入手し、減額できる相続税額と税理士報酬を比較することをおすすめします。
相続税を自分で申告する場合、税務調査が入る?
税務調査は、隠蔽や虚偽の申告をしている疑いがある場合に対象となります。明らかな申告漏れや不動産等の財産の評価方法、特例の適用が誤っている等場合は税務調査の対象となるリスクが高まります。
正しい内容で相続税申告を行うことができれば、自分で申告しても税務調査のリスクを抑えることができます。
自分で相続税申告を行うと税務調査が入りやすいと言われている理由は、税理士との知識の違いにあります。相続税に関する知識がないため、申告漏れや財産の評価方法を誤ったり、特例の適用要件の判断を誤る可能性が高く、結果的に税務調査が入りやすいとされています。
自分で相続税申告を行いたい方は『better相続申告』を使い、財産の申告漏れや誤りを防止して、税務調査のリスクを抑えることをおすすめします。
財産規模別の税務調査率
「相続税申告を税理士に頼まないと税務調査が入る。その割合は10人に1人。」という情報を目にしますが、一概には言い切れません。
なぜなら、財産総額によって税務調査の割合が異なるからです。税務調査が入る割合は、以下の通り、財産規模が大きいほど高くなる傾向にあります。
- 財産総額が1億円未満の方:約2%(※)
- 財産総額が1億円~3億円未満の方:約16%(※)
- 財産総額が3億円以上の方:約35%(※)
(※税務研究会発行の税務通信(No.3665)のデータを集計し算出。)
追徴課税についても、財産総額が多いほど追徴額が大きくなるため、平均額が高くなります。「平均800~900万円の罰金が取られる」という情報もありますが、遺産総額や申告が漏れていた財産額によって異なるため、税務調査を受けた全員が数百万円の追徴課税を受けるとは限りません。
税務調査の流れ
税務調査は、「事後処理」、「机上調査」、「実地調査」と段階的に進んでいきます。
まず、申告後に相続税の申告書類に計算や記載方法の誤りがあると判明すると、税務署から簡易な接触(電話・書面・対面)による連絡が入ります。この段階で、納税者本人が自主的に修正申告を行うことを「事後処理」といいます。
次に、「机上調査」とは、文字通り、調査官が相続税の申告書類と税務署側の内部資料を、机上で検討する調査です。「机上調査」では確認できない大きな問題点などが見込まれると判断した場合に、「実地調査」を行います。
「実地調査」では、調査官がお亡くなりになった方や相続人の自宅などに訪問し、相続人が担当者の質問に答える形式の調査です。世間で一般的にイメージされる税務調査は、こちらの「実地調査」の方が多いのではないでしょうか。
財産総額が1億円未満だった方が税務調査にあたった場合、「机上調査」で完結するケースも多いため、世間で一般的にイメージされる「実地調査」が行われる可能性は高くありません。
誰が申告したかより、財産総額が低いことと、正しい内容で申告することが税務調査リスクを下げる大事な要因となります。
国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーがないため注意
国税庁のホームページには、確定申告書等作成コーナーがあり、情報を入力すると確定申告書等を作成することができます。
しかし、確定申告書等作成コーナーで相続税申告書を作成することはできず、国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーはありません。
相続税申告を自分で簡単に行うならソフトの利用をおすすめ
確定申告書等作成コーナーのように、相続税申告書を簡単に作成したい場合は、ソフトの利用をおすすめします。
被相続人や財産の内容、評価額等を入力すると、情報が記載された状態で相続税申告書が出力されるため、申告書の書き方を調べ、記載する時間や手間を大幅に削減することができます。
特に『better相続申告』は財産の洗い出しから必要書類のリストアップ、財産の評価方法の解説、申告書や土地評価明細書の作成を自動で行うことができるため、初めての方でも簡単に短期間で相続税申告を行うことができます。
相続税申告を自分で行うならe-taxでの提出も可能
e-taxを使うと、無料で相続税申告を行うことができます。
しかし、複数の相続人がいる場合はそれぞれで申告書を作成しなければいけない、相続税申告書の記載方法を知っておかなければいけない等、使いこなすには少し難しい部分もあります。
相続人が1人で、相続税に関する知識もあり、申告書の書き方もわかる場合は、e-taxでの相続税申告書作成も検討されてみてはいかがでしょうか。
相続税申告を自分で行った割合
相続税申告を自分で行った割合は、令和4年度で14.1%となっています。
『令和4年分相続税の申告事績の概要(令和5年12月国税庁)』によると、令和4年度は相続税の申告書の提出に係る被相続⼈数が150,858人いたため、単純計算で約21,270件が相続税申告を自分で行ったことになります。
割合としては多くないものの、年間2万件以上は自分で相続税申告を完了させているため、自分で相続税申告を行うのは決して難しい手続きではありません。
平成30年度から令和4年度までの税理士関与割合と自分で申告した方の割合を以下にまとめました。過去5年間の平均でみると約14%の方が自分で相続税申告を行っています。
平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 平均 | |
税理士 | 85.0% | 85.7% | 86.1% | 86.1% | 85.9% | 85.8% |
自分で | 15.0% | 14.3% | 13.9% | 13.9% | 14.1% | 14.2% |
出典:令和4事務年度国税庁実績評価書(令和5年10月財務省)
相続税申告を自分でやってみた人のブログをご紹介
実際に自分で相続税申告を行った方の感想をご紹介します。
どのような点が難しかったのか、本当に自分でできるのかの判断の際に、参考にしていただけますと幸いです。
鈴木様(仮名 70代男性)
葬儀会社から税理士を紹介され、相続税申告の報酬を70~80万円と提示された鈴木様。報酬が高く、自分で相続税申告をされることを決意しました。
インターネットで情報を集めていましたが、一人で行うのは難しいと感じていました。手続きについて調べる中で『better相続申告』を見つけ、利用し、最終的に税理士を使わず、自分で相続税申告を完了されました。
必要な資料や財産の評価方法、間違えやすいポイント等をシステム内で確認しながら情報を入力。情報が記載された申告書を税務署へ提出し、相続税申告は完了となりました。
税務知識が無かった状態でも、システムの案内に沿って情報を入力すれば、相続税申告ができるサービスがあって助かったという感想をいただきました。
佐藤様(仮名 70代男性)
佐藤様は相続が発生する前からお母様にエンディングノートを作成してもらい、財産について把握されていました。自分で相続税の計算も行い、小規模宅地等の特例を使うと相続税が0円になることも把握されていました。
生前の段階から、税理士に依頼せず自分で相続税申告を行うことを決めていたそうです。相続が発生してから『better相続申告』を利用して税務署や税理士へ相談することなく、申告を完了されました。
自分で相続税申告を行う際、資料の収集が手間だったというお話しもされていました。銀行で残高証明書を発行してもらうために予約が必要だったり、何度も足を運ぶ必要があったりした点が手間だったそうです。
相続税申告を自分で簡単に行うならbetter相続申告がおすすめ
相続税申告を自分で行うことはできますが、書籍やインターネットで情報を集め、手書きで相続税申告書を作成するには時間や手間がかかります。
『better相続申告』なら相続税申告を自分で行う手間や時間を大きく削減し、簡単に短期間で相続税申告を完了させることができます。
また、財産の洗い出しを細かくできるため、申告漏れによる税務調査リスクを下げることが可能です。フォームに入力した情報は、自動的に相続税申告書の様式に反映されるため、必要な様式や申告書の書き方を調べる時間も削減できます。
自分で相続税申告を行うための機能が充実した『better相続申告』を無料で試すことができますので、まずはぜひお気軽にご登録の上、自分で申告できるかどうかの参考にしていただけますと幸いです。
監修者情報
徳永 和喜(公認会計士)
高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。
2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。
2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。