相続税の申告期限はいつまで?ペナルティ・延長できるケースを紹介

相続税申告の費用について解説

相続税の申告期限はいつまでなのか知りたい。

そのようにお考えではありませんか。

相続税を納めることになりそうだけど、申告期限がいつまでかわからない。また申告期限を超えた場合はどのようになるのか知りたい。

そこで本記事では

・相続税の申告期限はいつまでか
・相続税の申告までにかかる期間
・相続税の申告期限が過ぎた場合のペナルティ
・相続税の申告期限を延長できるケース
・相続税の申告期限が間に合わない時にはどうすればいいのか

5つのポイントについて解説します。

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相続税の申告期限・納付期限はいつまで?

相続税の申告期限は相続があることを知った日から10ヶ月以内とされており、納付期限(相続税を納める期限)も同様とされています。

通常、被相続人が亡くなった日が相続開始日になります。ただし、亡くなったことを知らない場合はその知らせを受けた日が相続開始日となります。

例:相続開始が11月20日の場合:相続税の申告期限・納付期限は9月20日となる(相続開始日から10ヶ月後)

申告期限の日が土日・祝日だった場合は翌日以降の平日となります。また、年末年始は閉庁しているため、相続税申告の期限が閉庁期間と被っている場合は次の開庁日が期限の日となります。

相続税の申告までにかかる期間|早めに申告しないと間に合わなくなる可能性も

相続税の申告までには様々な手続きがあるため、想定よりも長期間を要するケースが多いです。

例えば誰が何の遺産を相続するかを決める「遺産分割協議」などは、相続人同士での話し合いが必要でトラブルが起きやすいものであるため、短期間で終わるものではありません。

税理士に依頼した場合、順調に進んだ場合でも初回面談から申告完了まで3~4か月程度かかると考えた方がいいでしょう。そのため、多くの税理士事務所では申告期限まで3か月を切る場合には追加報酬が発生してしまいます。

さまざまな手続きを順番に行っていく必要があるため、そのためなるべく早い段階から相続税の申告手続きを始めることが大切です。

相続税の申告期限を過ぎた場合のペナルティ

相続税の申告期限を過ぎた場合には厳しい以下の2つのペナルティが存在します。

  • 加算税がかかる
  • 特例を使用できない

加算税がかかる

加算税がかかる

相続税の申告が遅れることによって起こりうる加算税には、以下の4つが考えられます。

  • 延滞税
  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 重加算税

延滞税

延滞税

申告期限を過ぎて相続を納税した場合に、納付した相続税に追加課税される税金を「延滞税」と呼びます。

延滞の税率は原則として以下のようになります。

申告期限を過ぎて2ヶ月以内に納付した場合:年率7.3%
申告期限を2ヶ月過ぎて納付した場合:年率14.6%

ただし、上記はあくまで原則であり、年度によって課税される税率は変化します。実際、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は以下のようになります。

申告期限を過ぎて2ヶ月以内に納付した場合:年率2.5%
申告期限を2ヶ月過ぎて納付した場合:年率8.8%

最近の低金利の状況を踏まえ、低い金利の税率が適用されています。

過少申告加算税

過少申告加算税

過少申告加算税とは、申告書の税額が実際より少なくなっていた時に発生する税金です。

税務署に指摘される前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税はかかりません。ただし税務調査による指摘の後に修正申告を行なった場合には、過少申告加算税が課税されます。

相続申告期限のギリギリに申告手続きを始めてしまい、申告書にミスが発生するケースは多いです。

過少申告加算税の税率は以下のようになります。

税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告した場合:なし
税務調査の通知を受けた後、指摘される前に修正申告をした場合:追加納税額の5%(10%)
税務調査で指摘された後に修正申告した場合:追加納税額の10%(15%)

※追加で納付すべき税額が、50万円または当初支払った税額を超える場合には、超えた部分は括弧内の税率となります。

無申告加算税

無申告加算税

相続税の申告期限までに提出せず、期限後提出または税務署からの決定処分を受けた場合、本来の相続税にプラスして課税される税を無申告加算税と呼びます。

無申告加算税の税率は以下のようになります。

税務調査の通知を受ける前に自主的に申告をした場合:納税額の5%
税務調査の通知を受けた後、指摘される前に申告した場合:納税額の10%(15%)
税務調査で指摘された後に修正申告した場合:追加納税額の15%(20%)

※納付すべき税額が、50万円を超える場合には、超えた部分は括弧内の税率となります。

重加算税

重加算税

財産の隠蔽をおこなった場合に発生する深刻なペナルティを重加算税と言います。

重加算税は財産の隠蔽をする特段の行動が認められた時に、課される税金です。

重加算税の税率は以下の2つのパターンがあります。

申告書を提出している場合:追加納税額の35%
申告書を提出してない場合:追加納税額の40%

特例を使用できない

相続税の申告には様々な特例があり、特例の利用によって相続税を大幅に減額することが可能となります。

ただし適用条件として申告期限以内に申告しないと、利用できない特例も存在します。

例えば代表的な特例として、土地の評価額を最大80%下げることができる小規模宅地等の特例がありますが、こちらは申告期限以内に申告していない場合は原則として特例を使用できません。

このほかにも利用できない特例が多くあり、申告期限以内に申告しないことにより大きく損をしてしまいます。

相続税の申告期限を延長できるケース

相続税の申告期限は原則として延長できるものではありません。ただし例外として申告期限が延びるケースが存在します。

相続税の申告期限が延長が認められるケースを2つ紹介します。

  • コロナウイルスの影響により相続税の申告ができない
  • 災害の影響により相続税の申告ができない

新型コロナウイルス・災害の影響により相続税の申告ができない

新型コロナウイルスまたは災害の影響により相続税の申告ができない場合、申告期限はその理由のやんだ日から2か月間延長されます。

新型コロナウイルスに関しては、2021年9月現在申告書の提出と併せて「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署に提出することにより申告期限の延長が可能です。なお、事前申請は不要ですが、延長申請書は各相続人それぞれ提出が必要となりますので、ご注意ください。

相続税の申告期限までに間に合わない時にはどうすれば良いか

相続の申告期限までに相続財産の評価が確定しない場合や遺産分割協議がまとまらない場合には、次のように対応するのがいいでしょう

  • 申告期限内に概算申告を行う
  • 申告期限後三年以内の分割見込書で末分割申告する

財産評価が確定しない場合:申告期限内に概算で申告を行う

相続財産の評価が確定しておらず申告期限に間に合わない時は、概算で申告を行い多めに相続税を支払うことで、延滞税や加算税を回避することが可能です。

申告の後に財産評価を確定させ税務署に還付請求することで、多く納めていた相続税の還付を受けることが可能です。

遺産分割がまとまらない場合:申告期限後3年以内の分割見込書で未分割申告する

財産評価は終わっているが遺産分割に関しての決定がされておらず、遺産分割協議書が申告期限までに作れてないケースでは、一旦法定相続割合で分割したと仮定して相続税申告書を作成し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を同時に税務署に提出することで申告期限内に間に合わせる方法が存在します。

もちろん法定相続割合で分割したと仮定した申告書に記載の税額は、期限内に納付する必要がありますが、この段階では配偶者控除や小規模宅地の特例は適用できないことにご注意ください。

その後、3年以内に遺産分割を行い、配偶者控除や小規模宅地の特例を適用した申告書を作成し、修正申告を行うことで「多く払った税金を取り戻す」ことが可能となります。

相続税の申告期限のまとめ

今回は相続の申告期限について詳しく解説しました。

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監修者情報

監修者:德永和喜

徳永 和喜(公認会計士)

高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。

2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。

2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。

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