相続税申告は自分でできる!メリット・デメリットを徹底解説

相続税の申告は、人生で何度も経験することではありません。そのため、相続税申告は税理士に頼むものという考えがまだまだあります。

しかし、自分で相続税申告ができたらどうでしょう。自宅にいながら自分で申告書を作成でき、しかも税理士報酬というお金がかからないのです。

慣れないことばかりで心配や不安もついて回りますが、もしそれが払拭されれば、自分で申告してみたいと思いませんか?

自分でできる相続税申告『better相続税申告』

 

1. まずは、相続税申告が必要かどうかを判断

まずは、ご自分にとって相続税の申告が必要かどうかを、3つのケースで確認してみましょう。

1-1. 相続税の基礎控除額を超えている場合

相続税には基礎控除額があります。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例えば、Aさんがお亡くなりになり、法定相続人がAさんの妻と息子1人の場合、

自分で相続をする方法 法定相続人

3,000万円+600万円×2人=4,200万円、が基礎控除額となります。

相続する財産がこの基礎控除額4,200万円を超えているのならば、申告が必要です。言い換えれば、4,200万円以下なら相続税はかからず、申告の必要もありません。

詳しくは「相続税の基礎控除で一定額まで税金がかからない!」をご覧ください。

1-2. 「配偶者控除(配偶者の税額軽減)制度」を使う場合

配偶者の相続した財産が「1億6,000万円以下」または「配偶者の法定相続分の金額以下」の場合には相続税がかからないという制度です。

配偶者控除の説明図

それ以上の金額を相続した場合でも、この制度を適用することで、大きな節税効果があります。この制度を使用する場合、たとえ税額が0円であっても申告が必要となります。

詳しくは「配偶者控除で相続税が0円に!?」をご覧ください。

1-3. 「小規模宅地の特例」を使う場合

居住用の宅地、事業用の宅地、貸付け用の宅地を相続した場合、一定の要件を満たしていれば、その土地の相続税評価額を下げることができます。これを「小規模宅地等の特例」といいます。最大で8割も評価額を減額させることができる特例です。

小規模宅地の説明図1

評価額が高いと相続税も高くなってしまうので、評価額を減額させることで、相続税を大きく抑えることができます。

この制度を使用する場合、たとえ税額が0円であっても申告が必要となります。上記以外でも、税額控除や特例を使用する場合など申告が必要なケースがあります。

詳しくは「小規模宅地の特例で賢く節税!」をご覧ください。

1-4. 相続税の申告が必要な場合

相続税の申告が必要な場合、「相続税の申告書」を作成し、添付書類とともに税務署へ持参もしくは送付します。2019年より電子申告による送信も可能となりました。

「相続税」は日常の生活にはなじみの無い税金なだけに、プロにお願いしなければならないものと思いがちですが、所得税の確定申告と同じように、自分で作成し、自分で申告をすることができるのです。

 

2. どれくらいの人が相続税を自分で申告しているか?

では、日本での相続税の申告をする人と自分で申告をする人がどれほどいるのでしょうか。まずは、以下の図を見てみてください。

自分で相続をする方法 申告件数の推移

2014年 2015年 2016年 2017年
申告件数(件) 56,239 133,176 136,891 143,881
自分で申告数
(割合)
5,793
(10.3%)
13,584
(10.2%)
21,903
(16.0%)
22,445
(15.6%)

出典 「平成30事務年度 国税庁実績評価書及び国税庁統計情報 相続税申告・課税状況」

まず、2014年と2015年を比べると、申告をした全体数が2倍以上に増えています。2015年に施行された相続税の改正により、基礎控除額が大きく減額されたため相続税の申告対象者が増加したのです。

そのため、相続税に関心を持つ人も多くなり、2016年以降は自分で申告をする人も増えています。

2019年10月より相続税の電子申告が解禁されたこともあり、ますます自分で相続税の申告をする人が増え続けるでしょう。

 

3. 相続税を自分で申告、自分には向いているの?

相続の状況やご自分の生活スタイルなどにより、自分で申告することへの向き不向きが分かれます。

3-1. 自分で申告するのに向いている人は?

相続人が1人だけ 遺産分割での争いが起きる心配がなく、自分のペースで申告をすることができます。
相続人が複数いるが
遺産分割で揉めることがない
相続人同士で、誰がどの財産をいくらもらうかというように遺産分割の内容が明確であると、申告後に揉めるといったことがありません。
相続財産が複雑でない  相続財産の多くが現預金や評価の容易な土地などの場合、申告書の作成はさほど手間がかかりません。
特例を使うことにより
相続税が0円になる
 「税額が0円」の申告書に税務調査が入る可能性はグッと低くなります。
(正確に作成されたものという前提がありますが。)

3-2. 自分で申告するのに向いていない人は?

遺産分割で揉めている 相続そのもので争いが起きそうな時には、当人だけでは解決できないこともあります。その場合、専門家など第三者に申告を依頼した方が円滑に進むでしょう。
相続財産が複雑である 非上場株式や海外不動産など、相続財産が複雑である場合、評価額の算定が難しいので自分での申告は困難になります。

申告には、役所などの公共機関で発行してもらう戸籍謄本や印鑑証明書、金融機関や法務局で発行してもらう預金や土地の証明書などの資料が必要になります。この資料の収集にはある程度の時間を要しますが、手間がかかるという理由で税理士に依頼した場合であっても、財産などの大切な情報のため、結果的にはほとんどの資料をご自身で取って頂くことが多いです。

資料収集の手間は、自分で申告しても税理士に依頼しても大きく変わらないといえます。

 

4. 自分で相続税を申告した場合のメリット・デメリット

自分で相続税の申告をした場合のメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

4-1. 自分で申告をした場合のメリット

税理士報酬がかからない! 一般的に相続税の申告に対する税理士報酬は、遺産総額の0.5%〜1%で数十万円以上と高額ですが、自分で申告をすることでこの支払いをしなくて済みます。
自分のペースで進められる!  税理士に依頼した場合、対面での面談があり、時間のすり合わせや事務所への往復が必要になります。自分で申告をすると自分のペースで申告を進めることができます。

4-2. 自分で申告をした場合のデメリット

知識が必要 正確な申告書の作成のため、また、節税のために相続の知識があったほうがスムーズです。
余計な税金を支払うことになるかも もしミスがあったら、延滞税など余計に税金がかかってしまうこともあります。

 

5. 自分で相続税を申告した場合に税務調査が入りやすくなる?

税理士に依頼せず自分で申告をした場合、素人が作った申告書だから税務調査が入りやすいのでは?といった不安もあることでしょう。

国税局がなぜ税務調査に入るのか。それは、正しく公平な納税のためです。たくさんの遺産があるのに相続税額が少ないと、隠蔽や虚偽の申告をしているのではないかと調査に入ります。遺産総額が1億円を超えると相続税額も多額になるため、調査の対象となりやすいようです。

また、遺産の多少にかかわらず、明らかに申告漏れがある場合や不動産等の財産の評価方法や特例の適用等が誤っている場合には税務調査の対象になるでしょう。

税務調査の対象になるかどうかは、申告書を個人が作成したか税理士が作成したかの違いによるものではありません。あくまでも、正しい申告をしたのかどうかが重要なのです。素人が作成したからといって税務調査が入る確率が高くなるとは言い切れません。税理士に依頼しないと税務調査に入られる、というような噂を耳にすることもありますが、これは正しい情報とは言えません。

たとえ、そのような理由で税務調査が入ったとしても、正しい方法で申告を行ったのであれば、自信を持って税務職員に対応できます。

 

6. 相続税の申告は自分で行うことが十分可能!

ここまでお読みいただいたように、相続税の申告は自分で行うことが十分に可能です!

複雑な相続や争いが起きそうな場合は、一人で抱え込まずに専門家に相談するのがよいでしょう。しかし、財産の内容によっては、税理士が行っている作業自体、実はそれほど難しくはありません。

不備なく資料を集め、ミスなく丁寧に入力をすることに注意を払えば、正しい申告ができるのです。税理士に依頼しないと申告が済まないということはなく、やってみれば意外と簡単に自分で申告をすることが可能なのです。しかも自分のペースで短期間のうちに申告ができるのです。

 

7. 必要に応じてサポートを受けつつ、自分で相続税の申告をする方法

いざ自分で相続税の申告書を作ってみよう!と国税庁のHPを見たら申告の流れや申告書の多さにビックリし、どこから手をつければよいのか、用語の解釈はあっているのかと戸惑うこともでてくるでしょう。

「相談があればお近くの税務署へ」と書いてありますが、担当者が必ずしも相続に詳しいとは限らず、また、職員自らが積極的に節税方法を教えてくれることはありません。

正しい相続税の申告書を作成することの重要さは理解しているけれど、自分一人だけでそれができるのか…不安ですよね。でも、申告書を作成するのに必要な情報や書類が明確化されていて、質問に回答する形式で入力すると完成するとしたらどうでしょうか?安心して申告書を作成できそうですよね。

自分で一から相続税や申告書の作成を行わなくてもシステムに従えば申告書が作成できます。専門用語やわかりにくい部分は解説がついているので、知識がない方でも理解しながら作業を進めることが可能です。

そんな安全で心強いサポートを受けながら、自分で正しい相続税の申告書を作ることができるのがbetter相続です。

自分でできる相続税申告『better相続税申告』

• 必要資料の洗い出し
• 申告書作成サービス「better相続」利用

まずは、システムに案内されている質問に答えていくだけで、手間がかかり知識を要する次の作業ができてしまいます。

① 財産の洗い出し (申告をしなくてはいけないものがもれなくチェックできます)
② 必要資料の収集 (あなたの申告に必要な資料を提示します)
③ 申告書の作成  (資料を確認しながら金額の入力をします)
④ 申告書の提出  (提出方法など丁寧に説明されています)

どうでしょう。自分で申告をすることのデメリットであった手間や時間がかからず、案内どおりに質問に答えていくことで、申告書が完成するのです。知識がなくても心配無用。ご自分で正しい相続税の申告書を提出することができるのです。

8. 最後に

相続税は大切な方が遺してくださったご遺産に対する税金です。お亡くなりになったかたは、相続税であなたが困りはてないよう、無駄な税金を支払うことのないよう見守っていることと思います。

少しでも不安なくご自分での相続税の申告が済まされますことを願っております。

自分でできる相続税申告『better相続税申告』

監修者情報

監修者:德永和喜

徳永 和喜(公認会計士)

高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。

2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。

2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。

 

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