今回お話をうかがったのは、経理のお仕事をされており、行政や税金の仕組みに詳しい山岡様です。税制度に詳しい方が自分での申告を決めた経緯や感じたことについて、前半・後半の2つに分けてお届けします。
前半は、自分で行うことになったご自身の体験談と、税理士法人に依頼しなかった理由についてです。
※インタビュー内容は2023年1月7日まで提供していた「基本プラン(旧)」をご利用頂いた際のものとなります。2023年3月現在とサービス内容が一部異なりますのでご了承ください※
1.まず、相続税のルールは他の税制度に比べて特殊で複雑!
―― 相続税についてはどれくらいの知識をお持ちでしたか?
普段は、管理部で官公庁に提出する書類の作成などをしています。だから必要な書類とか流れについては、最初からなんとなくイメージできていました。
相続税については、それほどよく知っているわけではありませんでした。ただ税金については、仕事で扱うことがあって慣れていますので、特段の抵抗はありませんでした。
―― そんな山岡様から見た、相続税の特殊性はどんなところですか?
相続税はルールが他の税制に比べて、少し複雑なところですね。たとえば、申告書は1枚なのに、相続税の計算はひとりずつしなくてはいけない点とか。計算や納税は、相続人全員の分をまとめてすればいいのだと思っていたので、私も最初はかなり戸惑いました。
これについては、「相続税は、財産を受け継いだ人にかかる税金だけど、合算して申告しないとトータルの状況がわからないから申告書は1枚」だと理解すると分かりやすかったです。
――もともと素養がある山岡様でも、相続税はちょっと特殊に感じたのですね。
そうなんです。なので、基本の知識がないと、「これでいいのかな?」って疑問にさえ思わないまま進めてしまうなと。自分で間違いに気付けないと、調べたりもできませんからね。
だから、私のように税制度にある程度慣れている人間でも、相続税に詳しい人にチェックしてもらったほうがいいなと思いました。
2.税理士事務所にも行ってみた。その率直な感想。
――すると、税理士への依頼も検討されたのでしょうか?
はい。兄が税理士さんにお願いしたほうが安心だと考えていたこともあって、無料相談に行ってみました。
一通り財産についてのあらましをお話すると、依頼に必要な金額が書かれた見積もりをもらったのですが、「依頼するなら次はもっと詳しい資料を持ってきてください」と。
でも、結局はこちらで資料を集めながら、何度も足を運んでやりとりするのかと。やはり依頼するのは面倒だなと思いました。そもそも、大まかには進め方も分かっていたわけですから。
――山岡様は、税理士への依頼を前向きにお考えではなかったのですね。
はい。税理士さんに依頼しても、銀行や役所を回っていろいろやってくれるわけじゃないですよね。財産の内容を調べたり資料を集めたりなど、一番時間がかかって大変なところは結局自分でやらないといけない。
それなのに費用がとてもかかるので、私にとってはあまり賢い選択ではないなと、そう思いました。
――見積もりの金額をご覧になった感想はいかがでしたか?
いただいたお見積りは数十万円以上でしたが、心の中で「えー!」って叫んでしまいました。税理士さんも申告書に署名することで責任が生じるから、その対価でもあるので仕方ない部分はあるのですが。
それで「相談だけさせてもらって申告書は自分で作るので、もう少し費用を抑えてもらえないか」と聞いてみたのですが、断られてしまいました。
――主に費用面で納得できなかったと。
はい。あと、税理士さんが必ずしも相続税全般に詳しいわけではないと知っていたこともあります。普段、税理士さんとやりとりをするのでよく知っているのですが、一言に「税理士」と言ってもその業務は幅広いので、やはりそれぞれ得意・不得意があるんですよね。
――たしかに。相続税は2015年から基礎控除額が下がって、対象者が一気に増えて需要が高くなったので、そこから相続税を始めた税理士も多いという話も聞きます。
そうですね。たとえ「相続専門」と謳っていても、玉石混交の世界で本当に相続税に詳しい方に出会えるかは運次第な部分もあります。お任せするなら、「本当に」相続税に詳しい税理士さんがよかったのですが、自分で見つけるのは難しそうだと思いました。
それで費用面も合わせてトータルで考えた結果、自分でやったほうがいいのではないかという結論になりました。
3.システムを開発している税理士法人は信頼できる
――ではご自分で申告するにあたって、不安なことはございましたか?
申告ソフトを使いたかったのですけど、買うとけっこう高いので、どうしようか悩みました。一回しか使わないのに、もったいないなと思って。
――申告ソフトは、わりと専門家向けのものが多いですしね。
そうなんです。そのことも知っていたので、何かいい方法はないか調べました。
そうしたら、自分での申告をサポートしてくれる「better相続」というサービスを見つけたので、そちらに依頼することにしました。
――なるほど。税理士に依頼するのではなく、そのサービスを利用することにした決め手は、どのような点でしたか?
一番の決め手は、低価格で相談やチェックをしてもらえることです。さきほどお話しした通り、相続税にはいろいろな決まりがあって、自分では合っているのかわからないことが不安でしたから。
それに申告ソフトを買わなくても、こちらのシステムに入力すれば申告書が作れることも魅力でした。
――それでは、ぴったりのサービスを見つけられたのですね。
はい、普段の仕事を通して感じていたのが、「システムを作っている立場」は、全体についてとても詳しく把握しているということです。システムを作るには、曖昧なことは許されませんから、全部を知っていないといけませんよね。
だから相続税の申告も、システム化しているところのほうが隅々までわかっていて詳しいのだろうなって思ったのも、使うことにした理由です。
――たしかに、システムには「曖昧」は許されません。
以前、難しい国際会計基準のシステムを作っている方が、会計についてすごく詳しいので、公認会計士だと思っていたら、システム開発担当の方だったということがあったんです。それから、システムを作る人は専門家に匹敵するくらい詳しいのだなって思うようになりました。
なるべくわかりやすく、手間なく使えるように作ろうとしてくれるじゃないですか。そのためには、やっぱり自分がよく理解していないとできませんからね。だから、システムがあるところにお願いすれば、網羅性があってどんな質問にも答えてもらえると思ったんです。
結果、この考え方は間違っていませんでした。思った通りシステムも税理士さんも、非常に網羅性が高くて、なんでも相談できましたし、詳しい回答がもらえました。相談回数に制限もありませんでした。自分で申告することを検討されている方にはおすすめのサービスでしたね。
(後編「申告時に役立つ考え方とコツ」に続く)
税理士事務所へ依頼する前に、自分で申告できるか検討してみよう
経理の経験があって税金の仕組みをご存知の方でも、相続税のルールは特殊に感じたようです。それでも税理士事務所ではなくbetter相続を使って自分で申告した理由には、非常にしっかりとした根拠があって、「なるほど」と思われた方も多いのではないでしょうか。
「自分で申告したいけどできるかな?」と不安に思っている方にとって、今回のお話は背中を大きく押してもらえる内容だったかもしれません。少しでも挑戦してみたい気持ちがありましたら、ぜひ思い切ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
次回は、実際に自分で申告を行う時の「役立つ考え方とコツ」についてお伺いします。