相続税の申告・納付期限はいつまで?間に合わない場合の対処法や延長について解説

相続税の申告・納付の期限はいつまでか、間に合わなかった場合の対処法も解説

相続税の申告・納付期限がいつまでかご存じですか?

しっかりと期限を把握して期限までに申告と納付を終えないと、後で損をしてしまうことになりかねません。

今回は、相続税の申告・納付期限がいつであるか、もし期限に間に合わなかった場合にどうすればいいか等について解説していきます。

目次

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相続税の申告期限の原則は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」

相続税の申告・納付期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。

相続開始を知った日とは?

一般的に、相続開始を知った日=亡くなった方(以下、「被相続人」)の死亡日となるケースがほとんどです。

例えば、令和6年9月1日に亡くなった場合、令和7年7月1日が申告・納付期限となります。

ただし、被相続人の死亡日以外に、以下のケースも「相続開始を知った日」に該当します。

認定死亡

認定死亡

大規模な自然災害や飛行機事故、船舶事故などで行方不明となった場合、明らかに生存が見込めない状況であれば、戸籍法第89条に基づいて死亡を認定します。

この場合は、認定を行った官公庁が、死亡地の市町村長へ死亡の報告を行ったことを相続人が知った日が、「相続の開始を知った日」となります。

孤独死

一人暮らしで孤独死の場合、発見が遅れることがあります。この場合は、警察から連絡を受けた日等が「相続の開始を知った日」となります。

死亡日が特定できない場合、戸籍には「△年〇月〇日から■月■日の間 死亡」と記載されますが、期間の中で最も遅い日である、■月■日が相続開始日となります。

普通失踪

普通失踪

行方不明になってから7年間その生死が明らかでない場合、家族や関係者が家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行い、宣告が認められると死亡が認定されます。

この場合は、失踪宣告の審判の確定日を知った日が「相続の開始を知った日」となります。

特別失踪

特別失踪は、自然災害などの危難により行方不明となった場合に該当します。

危難が去ってから1年間その生死が明らかでない場合、家族や関係者が家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行い、宣告が認められると死亡が認定されます。

この場合も、失踪宣告の審判の確定日を知った日が「相続の開始を知った日」となります。

相続人ごとに相続税の申告期限が変わるケース

相続人ごとに相続税の申告期限が変わるケース

各相続人の状況により、申告期限の日が変わることもあります。

ただし、以下のケースは相続人全員の申告期限が変わるわけではなく、該当する相続人のみの申告期限が変更になりますので、ご注意ください。

実務上、相続人全員の連名で申告するのが一般的なので、相続税の申告期限が早く到来する相続人に合わせて申告するケースが多いです。

被相続人の相続の開始を知らなかった相続人

被相続人や他の相続人と疎遠になっていた、前妻との間の子供で連絡が取れなかった等、すぐに訃報が届かなかった相続人がいる場合もあります。

このように、被相続人の相続の開始を知らなかった相続人については、他の相続人から連絡があった日等が、「相続の開始を知った日」となります。

相続人の異動(欠格・廃除・認知等)で相続人となった人

相続人の異動とは、被相続人への非行により相続人が相続権を失う(相続欠格・相続廃除)ことや、認知していた子どもがいることが判明した等の理由により、相続人の人数が変化することをいいます。

相続欠格や相続廃除となった相続人がいる場合は、その子どもが新たな相続人となり、裁判の確定日を知った日が「相続の開始を知った日」となります。

申告期限日が土日祝日である場合

申告期限日が土日祝日である場合

本来の申告期限日が、土曜日・日曜日・祝日・年末年始(12月29日~翌1月3日まで)である場合、これらの日は税務署が休みであるため、休み明けの平日が申告期限となります。

相続税の申告を行う上で気を付けるべき3つの期限

相続税の申告を行う上で、申告期限・納付期限以外にも気を付けておきたい3つの期限があります。

こちらはすべての方に該当するわけではありませんが、手続きが必要な場合はご注意ください。

相続の開始を知った日の翌日から3か月・・・相続放棄・限定承認

相続の開始を知った日の翌日から3か月・・・相続放棄・限定承認

相続は通常、現預金・土地・有価証券等のプラス財産、借金などのマイナス財産どちらも相続人が引き継ぎますが、マイナス財産の方が多いと、相続人が債権者に弁済を行う必要があります。

その場合、相続放棄や限定承認を行うことで、マイナス財産の方が多い場合でも相続人が損をしないですむというメリットがあります。

相続放棄は、プラス財産もマイナス財産も一切相続しない場合に行い、各相続人が単独で行うことが可能です。

限定承認は、プラス財産でマイナス財産を清算して、余りがあればそれを引き継ぐという方法で、相続人全員で行う必要があります。

相続放棄・限定承認はどちらも、相続の開始を知った日の翌日から3か月以内に、家庭裁判所で申し立てを行います。そのため、先にこちらの手続きを検討する必要があります。

相続の開始を知った日の翌日から4か月・・・準確定申告

被相続人が亡くなった年の1月1日~亡くなった日までに行う確定申告を、準確定申告といいます。

被相続人に代わって相続人が行いますが、相続の開始を知った日の翌日から4か月が期限となっています。

被相続人が以下のケースに該当する場合は、準確定申告をしなければいけない可能性が高いため、生前の申告状況について把握しておくのがよいでしょう。

  • 自営業者やフリーランスであった
  • 事業所得や不動産所得があった
  • 給与の収入金額2,000万円を超える給与所得者であった
  • メインの給与所得以外に、20万円を超える所得があった
  • 公的年金の支給が年400万円を上回っていた
  • 亡くなった年に生命保険金の満期金や一時所得を受け取っていた
  • 亡くなった年に土地や建物、ゴルフ会員権などを売却していた

なお、所得税の申告義務がなく、還付を受けるために準確定申告を行う場合は、準確定申告は必須ではありません。

準確定申告により支払った税金・還付金は、相続税申告を行う場合に財産や債務として計上する必要があるため、先にこちらの手続きを済ませておかなければいけません。

相続の開始を知った日の翌日から7か月・・・税理士への依頼

相続の開始を知った日の翌日から7か月・・・税理士への依頼

税理士事務所にもよりますが、一般的に申告期限まで3か月をきったタイミングで依頼すると、加算報酬が発生する可能性が高いです。

申告期限まであまりにも余裕がない場合は、依頼自体を断られてしまうこともあるため、検討している場合は早めに依頼することをおすすめします。

加算報酬が発生し、税理士報酬が高いと感じた場合は自分で相続税申告を行うことも検討しましょう。

相続税の申告期限・納付期限を過ぎた場合どうなるか?

相続税の申告期限・納付期限を過ぎてしまった場合、以下のようなペナルティやデメリットがあります。

追加の税金がかかる

申告期限を過ぎてしまった場合、相続税とは別で税金が発生します。

無申告加算税

相続税の申告期限までに申告していない場合、ペナルティとして申告期限の翌日から「無申告加算税」が加算されます。
条件はあるものの、申告期限から1か月以内に自主的に申告すれば、免除になる余地があります。

以下の表のように相続税の金額に応じて、またいつ申告が完了するかによって段階的に税率が上がっていきます。

 

相続税額のうち50万円以下の部分 相続税額のうち50万円を超える部分 相続税額のうち300万円を超える部分(※)
申告期限から1か月以内に自主的に申告した場合(法定納期限までに納税されていること、過去に無申告がなかったことが条件) 免除
税務調査の事前通知を受け取る前に自主的に申告した場合 5%
税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに申告した場合 10% 15% 20%
税務調査を受けて申告した場合 15% 20% 25%

※申告期限が令和6年1月1日以降の場合に適用

延滞税

期限までに相続税を納付しなかった場合、ペナルティとして申告期限の翌日から「延滞税」が加算されます。原則として納付期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課税されます。

なお、期限までに1度申告・納税をしていた場合でも、期限後に修正申告を行って追加で相続税が発生した際は延滞税が課税されますので、期限内に財産の漏れがないか確認しておきましょう。

延滞税は、納付期限の翌日から2か月以内と、その翌日以降で税率が異なります。

納付期限の翌日から2か月以内に納付した場合の割合は、原則として年「7.3%」と定められています。
ただし、平成12年1月1日以降から制度が変更され、年「7.3%」もしくは「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い方の割合で課税されます。

納付期限の翌日から2か月経過後に納付した場合の割合は、原則として年「14.6%」と定められています。
ただし、平成12年1月1日以降から制度が変更され、年「14.6%」もしくは「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い方の割合で課税されます。

年によって変わりますが、令和6年1月1日から令和6年12月31日までの期間の延滞税特例基準割合は、納付期限の翌日から2か月以内に納付した場合は2.4%、納付期限の翌日から2か月経過後に納付した場合は8.7%です。(参照:国税庁

そのため、令和6年1月1日から令和6年12月31日までの期間の延滞税の割合は以下の通りです。

延滞税

重加算税

重加算税

悪質な不正行為があった場合、ペナルティとして「重加算税」が加算されます。

具体的には、財産を故意に隠したり、虚偽の申告を行うなど、意図的に相続税の負担を軽減しようとした場合に適用されます。この場合、無申告加算税は加算されません。

申告をしないまま期限を迎えて悪質な不正行為があった場合、本来払うべきであった税額に加えて、その税額の40%の重加算税が加算されます。

なお、過去5年間に無申告加算税又は重加算税を課されていた場合、10%プラスされた50%の重加算税が加算されます。

特例や税額控除を適用できなくなる

申告期限を過ぎてしまった場合、不動産の評価額を大幅に下げることができる「小規模宅地等の特例」や、配偶者の税金を控除することができる「配偶者控除」を適用できなくなる可能性があります。

小規模宅地等の特例を適用できなくなる

小規模宅地等の特例を適用できなくなる

小規模宅地等の特例は、相続税の負担を軽くするための制度です。
例えば、被相続人が住んでいた自宅の土地や、他人に貸していた土地に対して、この特例を使うと、評価額を大きく減らすことができます。

小規模宅地等の特例を適用するための要件として、原則は適用する土地の分割が申告期限内に完了している必要があります。

しかし、申告期限内に分割が完了できず、期限を過ぎた後に申告を行うと、小規模宅地等の特例が適用できない場合があります。

配偶者控除を適用できなくなる

相続税における配偶者控除とは、被相続人の配偶者が相続した財産に対して、大幅に相続税を軽減または免除できる制度です。

配偶者が相続する財産のうち、1億6,000万円分までは相続税がかかりません。

なお、1億6,000万円を超えたとしても、配偶者の法定相続分までであれば相続税は課税されず、超えた分のみに課税されます。

配偶者控除の要件として、適用する財産について、原則は申告期限内に分割完了している必要があります。

しかし、申告期限内に分割が完了できず、期限を過ぎた後に申告を行うと配偶者控除が適用できない場合があります。

相続税申告の期限の延長は可能であるか?

相続税の申告期限・納付期限は、原則として延長は認められていません。

しかし、「災害その他やむを得ない理由」に該当すれば、最大で2か月延長することができます。

「災害その他やむを得ない理由」に該当する場合とは

「災害その他やむを得ない理由」とは、以下のようなケースが挙げられます。

相続人同士で揉めており、遺産分割協議が完了しない等の理由は該当しませんのでご注意ください。

災害などのやむを得ない理由

災害などのやむを得ない理由

災害などのやむを得ない理由には、地震や豪雨などの自然災害、火災やガス爆発などの人為による異常な災害、申告をする者の重症病や電子申告システムのトラブルなどが含まれます。

近年であれば、コロナウィルス感染症による緊急事態宣言の発令期間中、全国的に延長が認められていました。

これらのトラブルが原因で、財産の調査を行うこと等が困難である場合は、延長が認められます。

納税地の所轄税務署に対して、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すれば、その理由がやんだ日から2か月範囲で延長することができます。

胎児が無事に生まれ相続人となった場合

相続が発生した時点で胎児である場合にも、相続する権利は認められていますが、無事に生まれてくるまでは相続人の人数として含めることができません。

無事に生まれると、相続人の人数が変わることから基礎控除額なども変わり、場合によっては申告書の提出が不要になる場合もあるため、延長が認められます。

胎児を除いた相続人で計算すると、相続税の基礎控除額を超え、申告が必要になる場合でも、胎児が生まれることで相続人の人数が増えて基礎控除額を下回り、相続税の申告が不要になる可能性があります。

その場合、納税地の所轄税務署に対して、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すれば、胎児が生まれた日から2か月の範囲で延長することができます。

この手続きを行うことで、胎児が生まれた後に正確な相続税の申告を行うことが可能になります。

相続税の申告期限に間に合わない場合の対処法

相続税の申告期限にどうしても間に合わない場合は、「未分割申告」を行いましょう。

未分割申告とは

未分割申告とは

相続人が複数いる場合、相続財産を分割する際に、相続人間で揉めることなくスムーズに遺産分割が完了出来ればよいですが、トラブルが発生してしまい、どうしても申告期限までに分割が間に合わないケースもあります。

そのような場合は、申告期限までに一度、法定相続分で相続したことにして相続税を申告・納税します。この方法を「未分割申告」といいます。

遺産分割が完了していない場合、各相続人がどの財産をどれだけ相続するかが確定していないため、相続税の計算が難しいですが、申告期限内に申告しないと、加算税や延滞税がかかるリスクがあるため、未分割の状態でも一度申告を行います。

未分割申告の方法

未分割申告では、まず相続財産の評価を行い、相続税を計算します。
この時点では、どの相続人がどの財産を取得するかは未確定のため、法定相続分に分けたと仮定して計算を行います。

例えば、被相続人に配偶者と子供がいる場合、配偶者は法定相続分として2分の1を、残りの2分の1は子供たちが均等に取得します。

この割合に基づいて、未分割の財産全体の評価額を分けて、それぞれに対応する相続税額を計算します。

このタイミングでは、前述した「小規模宅地等の特例」「配偶者控除」などが適用できないため、一時的に高い相続税を支払わなければいけない可能性があります。

分割完了後に、特例を適用して相続税を軽減したい場合は、未分割申告のタイミングで申告書と合わせて「申告期限後3年以内の分割見込書」を期限内に提出する必要があります。

分割が完了した後の申告による修正

分割が完了した後の申告による修正

一度未分割申告を行い、その後分割が確定すると、特例を適用した金額での申告を行うことができます。

これは未分割申告の際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、申告後3年以内に遺産分割が完了した場合に限り、特例や控除等を適用して相続税を再計算できるという制度です。

この申告で、未分割申告の際に適用できなかった特例や控除等を適用することにより、一時的に高く支払っていた相続税の還付を受けることができます。

還付を受ける場合は、分割が行われた日の翌日から4か月以内に「更正の請求」という申告を行う必要がありますので、分割が完了したらすぐに行いましょう。

相続税の申告期限を過ぎてしまった場合の対処法

万が一申告期限を過ぎてしまった場合でも、そのままにしておくとペナルティが重くなる可能性があるため、速やかに「期限後申告」を行いましょう。

期限後申告とは

期限後申告とは

申告期限に間に合わず、期限を過ぎた後に行った申告のことを「期限後申告」といいます。

やむを得ず、期限後申告を行った場合は、期限内に申告が完了していれば払うことがなかった「無申告加算税」や「延滞税」などがペナルティとして発生します。

ペナルティとなる税金は、申告期限~期限後申告を行った日に応じて計算されるため、期限に間に合わなかったとしても、速やかに期限後申告を行うことで、金額を抑えることができます。

そのため、うっかり申告期限が過ぎてしまった場合や、自分が相続税の申告が必要だと思っておらず申告をしていなかったという場合には、速やかに申告を行うことをお勧めします。

期限後申告した場合、「小規模宅地等の特例」「配偶者控除」は適用できるのか?

「未分割申告」の場合、一度分割していない状態で期限内に申告し、分割が完了した後に再度申告を行うことで、小規模宅地等の特例や配偶者控除が適用できるとお伝えしました。

では、未分割申告を行っていない状態で期限後申告した場合、小規模宅地等の特例や配偶者控除は適用できるでしょうか?

申告期限内に分割は完了していたけど、申告自体は期限後に行った場合

適用可能です。

財産の分割自体は申告期限内に完了していれば、申告自体が期限後になったとしても、小規模宅地等の特例や配偶者控除は適用可能です。

申告期限から3年以内に分割が完了し、その後、期限後申告を行った場合

「申告期限後3年以内の分割見込書」をあわせて提出することで、小規模宅地等の特例や配偶者控除を適用可能です。

ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出を忘れてしまった場合は、原則として適用ができません。

こちらに当てはまる場合、個別に税務署へ確認することをお勧めします。

申告期限から3年を超えた後に分割が完了し、その後、期限後申告を行った場合

原則として、小規模宅地等の特例や配偶者控除の適用ができません。

相続人が1名の場合

相続人が1名の場合は遺産分割という概念がないため、期限後申告であっても小規模宅地等の特例や配偶者控除の適用は可能です。

相続税申告の時効はいつ?

相続税の時効は5年もしくは7年と定められています。

相続税の時効は原則「5年」

相続税の時効は原則「5年」

相続税の時効は、原則として申告期限から5年です。
相続税の時効が5年になるのは、「相続税の申告が必要となる財産の存在を知らなかった」ケースなどが該当します。

時効が成立すると相続税を徴収する権利が無くなるので、相続税を払わなくてもよいということになります。

悪質である場合は「7年」

ただし、悪質である場合(偽りその他不正の行為がある場合)は、時効が7年に延長されます。

相続税を払わなければいけないと知っていたのに払っていなかった場合、税金が高くなるのが嫌で財産を隠していた場合、虚偽の財産額を申告していた場合など、悪質であると判断されたケースが該当します。

時効があるという事実を知ってしまうと、相続税を支払わずに時効まで待とうという考えも浮かんでしまうかもしれませんが、非常に危険です。

相続税を支払わなければいけないと気づいたタイミングで、速やかに「期限後申告」を行いましょう。

時効が成立する前に指摘があればペナルティが発生する

時効が成立する前に指摘があればペナルティが発生する

時効が成立する前に税務署から指摘された場合も、本来の相続税に加えて「無申告加算税」「延滞税」「重加算税」等が加算されます。

期限前に申告していても、計上が漏れていた財産が期限後に発覚した場合、「過少申告加算税」という税金も加算される場合があります。

これらの税金は、申告期限~期限後申告を行った日に応じて計算されるため、期限に間に合わなかったり、財産の計上漏れが発覚した場合は、速やかに「期限後申告」を行いましょう。

申告が必要ないと勘違いしやすいケース

相続税の申告は、財産額が基礎控除額【3,000万円+600万円×法定相続人】に収まっていれば、税金が発生しないため、申告は不要となります。

ただし、以下のようなケースは申告が必要になるため、しっかりと把握しておきましょう。

小規模宅地等の特例を適用して税金が0円になる場合

小規模宅地等の特例を適用して税金が0円になる場合

小規模宅地等の特例を適用した結果、土地の評価額が低くなり、結果として財産額が基礎控除額以内に収まったというケースです。

申告をせずに小規模宅地等の特例を適用することはできないため、適用するために申告が必要となります。

配偶者控除を適用して税金が0円になる場合

配偶者がすべて財産を取得する等の場合に、配偶者控除を適用した結果、支払う税金が0円になったというケースです。

申告をせずに配偶者控除を適用することはできないため、適用するために申告が必要となります。

過去に相続人が贈与を受けている場合

被相続人が亡くなった時点で保有していた財産額が、基礎控除額に収まっていたとしても、生前に相続人へ贈与を行っていると、相続財産として計上しなければいけないケースがあります。

暦年贈与の場合

暦年贈与の場合

暦年贈与とは、1年間(1月1日〜12月31日)の非課税枠である110万円までの贈与であれば、贈与税がかからないという一般的な贈与の方法です。

暦年贈与があった場合、相続税申告の時に相続財産として計上しなければいけないというルールがあります。

令和8年12月31日までに相続が発生した場合は、相続発生日から過去3年以内に暦年贈与している額を加算する必要がありますが、令和9年1月1日以降に相続が発生した場合は、ルールが変更となりました。

令和9年1月1日~令和12年12月31日以降に相続が発生した場合は、段階的に加算しなければいけない期間が延びていき、令和13年1月1日以降に相続が発生した場合は、過去7年以内に暦年贈与している金額を加算する必要があります。

暦年贈与を受けた相続人が、被相続人の財産を取得するときは、生前に贈与で受け取った金額も含めて基礎控除額を超えていないか確認しましょう。

相続時精算課税制度を利用した贈与の場合

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において利用可能な贈与の方法です。

こちらの制度を利用して贈与された子や孫は、贈与財産金額から基礎控除額110万円を控除した金額が2,500万円までであれば、贈与税は非課税となります。

一方で、贈与した人の相続が発生したときに、相続財産と贈与された金額の合計が相続税の基礎控除額を超えた場合、相続税が発生します。

相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた相続人がいる場合は、この方法で生前に受け取った金額も含めて基礎控除額を超えていないか確認しましょう。

相続税の申告期限が近く、税理士報酬が高くなりそうな場合は自分で申告

相続税の申告期限が近く、税理士報酬が高くなりそうな場合は自分で申告

相続税の申告期限が迫っているタイミングで税理士に依頼を行うと、報酬が高くなる傾向にあります。

これは、申告期限に間に合うように、もしくは間に合わない場合でも延滞税等が少しでもかからないように、優先して作業する必要があるためという背景があります。

税理士への依頼報酬が高いようであれば、自分で申告を行うことで費用を安く抑えることができます。

主な財産が、現預金・有価証券・保険金・自宅の土地家屋のみ等、シンプルな内容であれば、自分で申告を行うことも十分可能なケースが多いです。

税理士に頼まないでもできそうか、こちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

相続税申告を自分で行うならbetter相続申告

better相続申告を利用する方は、相続税の申告を初めて行う方がほとんどです。税理士に頼まずに自分で申告したいけど、1人では不安という方にご利用いただいています。

今まで2,000名以上の方(2023年12月現在)が、better相続申告を利用して申告を完了しています。

また、相続税の申告は、お亡くなりになった方と向き合える最後の手続きとして、税理士に任せず自分で確認しながら進めたいと考えられる方も大勢います。

そんな多くの方からも喜ばれる、相続税の申告書作成システムがbetter相続申告です。まずはbetter相続申告で、費用を抑えて申告書の作成を始めてみてはいかがでしょうか。

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監修者情報

監修者:德永和喜

徳永 和喜(公認会計士)

高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。

2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。

2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。

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