「財産目録って何?」
家族が亡くなり、相続をするために財産目録を作らなければならないと耳にしたが、難しい話で良く分からないですよね。
そこでこの記事では、
- 財産目録とは何か
- 財産目録を作るメリット
について図解を用いながら分かりやすく解説していきます。
さらに、「財産目録の作り方」「財産目録を作る際の注意点」についても紹介していますので、財産目録について分からないことはなくなるはずです。
目次
財産目録とは?
財産目録とは、財産を相続したり分割する際に役立つもので、財産の種類や所在、金額などが明記されている書類です。財産目録を見れば所有財産がひと目でわかります。
財産目録に記載されるものは現金、預貯金、有価証券、土地や家屋などの不動産、ゴルフ会員権、美術品、自動車などです。また、財産目録に記載するのはプラスの財産だけでなく借入れなどのマイナスになる財産も含むので覚えておきましょう。
財産目録を作るメリットは3つ
財産目録を作ることによるメリットは以下の3つです。
- 節税対策を行いやすくなる
- 財産の申告をスムーズにできる
- 財産所有者が認知症になった際などに財産の把握ができる
相続手続きを行いやすくなる
財産目録を作るメリットの1つは、相続手続きをスムーズにおこなえる点です。
故人から相続した財産には相続税がかかることがありますが、財産目録があることで自分の財産構成が明確になり、何から手をつければ良いかがわかりやすくなります。
相続税申告をスムーズにできる
財産目録を作るメリットは相続税の申告時にも役立つことです。
故人(被相続人)の遺産の詳細がわかれば相続人は時間や労力をかけることなく相続税の申告ができ、誤った申告内容をすることなども防げます。
財産所有者が認知症になった際などに財産の把握ができる
また、認知症などになった後の財産管理や、亡くなった後の遺産分割の際にも財産目録があれば安心できます。財産所有者との意思疎通が難しくても、財産目録があることでどこにどのような財産があるのかなどが一目瞭然だからです。
このように、財産目録があると財産の把握、遺産分割などがスムーズにおこなえたり分割トラブル予防ができたりするわけです。
財産目録の作成は義務ではない
お伝えしている財産目録ですが、財産を残す人や相続する人においては作成義務がありません。ただし、遺産相続時や離婚時に財産目録があると余計な時間や労力を使うこともないため、やはり財産目録があったほうが便利といえます。
特に遺言執行者はすみやかに相続したい財産の目録を作り、法定相続人や包括受遺者(遺言によって財産をもらう人のこと)に配る義務があります。また、遺言執行者は法定相続人や包括受遺者に財産目録の開示を求められることもあります。
財産目録の作り方
財産目録を実際に作る方法についても知っておきましょう。財産目録は手書き、エクセルなどのツールを利用する方法と2通りの作り方があります。
どちらも記載方法は変わりませんが、一般的に財産目録は記載する項目が多くなるため、手書きだと大変なのでエクセルが使えるのであればエクセルなどのツールを使うのが良いでしょう。書き方を以下に紹介するので、記入の際にお役立てください。
【財産目録の書き方】
- 預貯金:保管や預けている金融機関情報(銀行名、支店名、口座番号、貯金種別)/現在の残高/備考
- 不動産:区分(土地、建物、借地権)/面積(持ち分や所有割合)/相続開始時の評価額/利用状況(本人の自宅や賃貸など)
なお、預貯金や不動産の確認方法ですが、預貯金は金融機関が発行する残高証明書で、不動産は登記簿謄本や課税明細書で詳細を把握することができます。
財産目録が作成できるテンプレート(フォーマット/ひな型)は無料のものもたくさんあります。これらを使うと早く簡単に財産目録を作ることが可能です。テンプレートのなかには各財産の種類をプルダウンメニューから選んで記入できる便利なタイプもあります。
エクセルのテンプレート例はこちらです。エクセルファイルとしてダウンロードしてお使いください。財産目録のPDFファイルはこちらです。
個人が財産目録を作る際の注意点は4つ
最後に、個人が財産目録を作る場合に気をつけたい4つの点を紹介します。皆さんが財産目録を作る際の参考にしてください。
財産がどこにあるのかを示す
財産目録を作るには「相続する財産の所在」を明記することが欠かせません。財産の所在が書かれていない場合、財産分割をするにも財産を探すことから始めなければいけません。
各財産がどこにどれくらいのかを把握するのは時間も手間もかかって大変です。このような苦労を防ぐためにも、財産目録には各財産の所在を正しく記載しておく必要があります。
各財産の金額や価値を正確に記載する
財産目録作成において「各財産の金額や価値」を正確に記載することも欠かせません。なお、各財産の金額や価値には現金や預貯金以外にも不動産や美術品などの価値(評価額や査定額)も含まれるので注意しましょう。
特に不動産の評価額は相続税評価額、固定資産税評価額や実際の市場価額など様々な価格があるので、財産目録上、備考欄にどの評価額を利用したかと記載するのが良いでしょう。
プラスの遺産だけでなくマイナスの遺産も明記する
個人が財産目録を作る場合の注意点はまだあります。それは財産を残す人が故人であるなら「プラスの遺産」も「マイナスの遺産」もすべて記載する必要がある点です。マイナスの財産とは、たとえば借入れやクレジットカードの未払い分などです。
多額の借金などマイナスの財産があることを知らなかった場合、相続した人が後々困ることもあります。このように相続人が困らないためにも、財産目録にはマイナスの財産も必ず明記する必要があります。
早めに作成する
また、財産目録を作成するなら遺言執行者や相続人は早めに作ることもすすめられます。というのも、いざ財産分割をしようとしても財産目録がなかったり未完成だったりすると相続人が困ることになるからです。
財産分割をするのにどのような財産がどこにあるのか、いくらあるのかなどを調べることから始めるのはなかなか大変です。そのため、スムーズな財産分割がおこなわれるためにも財産目録は期間に余裕を見て作りましょう。
財産目録のテンプレートダウンロードはこちら
財産目録を自分で作成したいという方へエクセル形式とPDF形式のテンプレートをお渡しいたします。
エクセルのテンプレート例はこちらで、エクセルファイルとしてダウンロードしてお使いください。財産目録のPDFファイルはこちらです。
財産目録があれば自分で相続税申告がしやすくなる
財産目録が作成してあると、どこにどの財産があるのか簡単に把握することができ、相続手続きの時間を短縮することにつながります。
遺産総額を調べるや遺産分割協議の時間が短縮され、その時間を自分で相続税申告を行う時間に充てることができます。また、相続税申告の際に財産内容を一覧で記載するページがあるのですが、財産目録があれば記載する作業の手間を削減することもできます。
自分で相続税申告を行い、税理士に依頼する費用を抑えたい方には『better相続申告』をおすすめします。専門家のノウハウをシステムに落とし込んでいるので、自分で簡単に相続税申告ができるようになっています。
財産一覧を確認できる機能もあるため、財産目録が必要な場合、システム内で対応することができます。
財産目録のまとめ
多くの人が気になる「財産目録」について以下の内容を解説しました。
- 財産目録があると財産の相続や遺産分割をする際、財産を残す人が認知症になった場合に困らずに済む。
- 財産目録の作り方には手書きとエクエルの2通りがある。
- 財産目録を作る際は4つのことに注意する。
- 相続税申告にはプロのサービスを活用するのもおすすめ。
財産目録の作成には便利なフォーマット(ひな形)の利用やプロによるwebサービスを使うことも考えましょう。皆さんが財産相続や遺産分割をする際にぜひ財産目録を役立ててください。
監修者情報
徳永 和喜(公認会計士)
高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。
2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。
2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。