1000件以上の相続案件に関わった税理士だから言える!税理士に依頼か、better相続を利用するかの判断ポイント!

2015年の相続税法改正以降、相続税申告の件数は増加傾向にあります。申告の件数が増えるほど、自分で手続きをしたいという方も少なからず出てきます。しかし、自分一人で正しい申告ができるものでしょうか。

日本最大手の税理士法人である辻・本郷税理士法人で、相続案件に1000件以上向き合ってきた税理士でシニアパートナーの山口さんに、相続税申告の課題を踏まえた申告方法についてお話をうかがいました。

※インタビュー内容は2023年1月7日まで提供していた「基本プラン(旧)」のものとなります。2023年3月現在とサービス内容が一部異なりますのでご了承ください※

1.山口さんのプロフィール

――山口さんの現在までのご経歴を教えてください

大学を卒業後、働きながら勉強をして25歳で税理士の資格を取り、その後辻・本郷税理士法人に入社をして15年ほど経ちました。

辻・本郷税理士法人では相続中心の部署に所属しています。当社では、申告書作成などの入力作業を行うスタッフ、お客さまへのプレゼンテーションを行うスタッフなど分業が進んでいます。若いうちは主に裏方として税務作業を行っていたのですが、現在はお客さまへの相続税申告書の説明や相続税対策の提案をする業務が中心になっています。

――年間、何件ほどの相続案件を担当されているのですか

直接担当しているものから別の担当者が担当している案件のサポートやチェックなども含め、年間100件ほどの相続案件に関わっています。基礎控除が下がる前は相続案件が少なかったのですが、それでも累計で1000件以上は関わってきました。

2.数多くのケースからいえる相続税申告の難関ポイント

――山口さんがお客さまと接する中で感じる相続税申告の難しいポイントは何でしょうか

難しいポイントは2点あります。「土地の評価が難しいこと」と「相続税の対象になる財産の認識」です。

2-1.土地の評価は難しい

――では、1つ目の「土地の評価が難しいこと」についてお聞かせください

土地は同じものが二つとなく、とにかくいろいろな状況があるので、それぞれに土地の評価をする点が難しいのです。同じ面積でも土地の形や状況(利用方法)によって評価が変わるんですね。

そもそも土地はどうやって評価するのか? 路線価方式とは?などと基本的なことを知らない方もいらっしゃいます。しかし、考えてみればそれは当然のことです。普段、家の売買価格を気にすることはあっても、相続時の評価額を気にする場面なんてありませんからね。こうした意味でも、一般の方が、相続した土地の自ら評価をするのは難しいことだと感じます。

2-2.財産の認識に税務署とズレがある

――では、2つ目の「相続税の対象になる財産の認識」についてお聞かせください

相続税の対象になる財産に対して、一般の方の認識にズレがあるケースが多いです。例えば、名義預金や手元現金などで「これには税金かからないんじゃない?」と考えられている方がいらっしゃいます。当然ながら、そのようなことはありません。

――なるほど。もう少し詳しくお聞かせください

たとえば、預金は「引き出してしまえば相続財産にならない」と思われている方がいらっしゃいましたね。お客さまの通帳をチェックをすると、毎日のように預金から引出限度額の50万円が引き出されていまして。それを訊ねると「通帳にお金が入っていなければ申告しなくてもいいんでしょ?」という返答がありました。

当然、これは手元にある現金として申告する必要があります。しかし、現金も申告するということを知らない、隠してしまえば分からないだろう、通帳の名義を変えてしまえば亡くなったお父さんの財産ではないだろうといった安易な考えの方が一定数いらっしゃいます。

こういった認識の甘さをちゃんとチェックしないで相続税申告をすると、後で追徴課税されてしまうんです。

3. 税務署は相続財産をすべて知っている

――では、続いて相続を取り巻く業界全体での課題として感じていることはありますか

「申告漏れが多いこと」と「相続に関するリテラシーが低い」ということですね。

3-1.申告漏れが多い

ーー2015年の相続税改正以降、相続税申告の件数が増加していますが、申告漏れも増えているのでしょうか

最新の報告によると、約138万人の方が亡くなり、そのうち相続税の課税割合が8.3%、約11万件が課税されています。

税務調査については、約11万件の申告の中で約1万件、およそ1割に実地調査が入りました。かなり申告漏れを指摘されている印象です。無申告で追徴課税されているケースもあります。

そもそも相続税がかかることを知らなかったとか、知っていたけど申告をしなかった。それで追徴課税された人が多いと思われます。

3-2.相続に関する知識が少ない

――先ほどの土地の評価や預金の話も含めて相続に関する知識を増やす方法がないですよね

そうですね。学校で習う機会がないというのが大きな理由だとは思うのですが、大人になってからでも相続を含めたお金の勉強をするべきだと思います。

たとえば、奥さん名義の通帳にばんばんお金を入れちゃうご夫婦がいたとして、この奥さん名義の預金を申告しなかった場合、これは相続財産を隠したということになってしまう可能性があります。それを税務署は良しとしません。でも普通はこんなこと知らないんですよね。生活に密着するような所得税、贈与税や相続税については、どういう時に課税されるかというような勉強をするべきじゃないかなと、調査に立ち会うと思いますね。

――相続というタイミングでリテラシーの低さが露見してしまう可能性が高いということですね

税務署にはKSKシステムというものがあり、誰がどの程度の財産を持っているのかというのは大体目星がつくと言われています。それにより、申告の金額が少ないかどうかはすぐにチェックされてしまいます。

ですので、税務署の人はすでに相続財産を全部知っていると思って相続税の申告や相続の対策を進めるべきです。

しかし、自分で追徴課税を防ごうと思っても、そもそも税務署の考え方を知らない方が多いので、いざ税務調査に直面した時に困ってしまうんですね。

相続では財産を一つ一つ洗い出してチェックをすることが大切ですが、自分一人で抜けがないようにしていく作業はなかなか難しいのではないでしょうか。

4.結局、どの方法で相続税申告をすればいいの?

――相続税の申告方法として主に「自分で申告を行う」「Webサービスを利用する」「税理士に依頼する」の3つが挙げられますが、それぞれの特徴を解説していただけますか

4-1.自分で申告を行う

――自分で申告を行うことの特徴はどのような点でしょうか

4-1-1.費用がかからないが相続税を払いすぎることも

メリットは、費用がかからないということです。自分で申告してしまえば依頼費用などがかかりませんね。

デメリットは、間違った申告内容を誰にも指摘してもらえないという点がありますね。節税ポイントを知らずに税金を多く払ってしまっているケース、また、財産の漏れが後から見つかって追徴課税として延滞税や加算税など通常より多くの税金を払わなくてはいけないケースが考えられます。

4-1-2.自分一人では難しいこともある

――自分で途中までやってみたがうまくいかずに税理士に駆け込んで依頼する方もいらっしゃいますか?

申告期限1~2ヵ月前とぎりぎりで駆け込まれる方が一定数いらっしゃいます。「自分で頑張ってみたけど難しかったので、直前だけど受けてもらえますか?」という形で、一回ご自身でトライされて、やはり難しさを感じて依頼することにした方も多いです。

――相続を自分でやるにしてもケースバイケースということでしょうか

相続人が1人で、財産は自宅と預金だけという案件なら簡単ですが、相続人が2人以上になると財産をどう分けるのかといった悩みが出てきますよね。3人4人と多くなるとなおさらです。財産が増えればその財産をどう評価するかと難易度は上がっていきます。

一般の方は相続の申告手続きに慣れている人はほとんどいません。だからこそ専門用語や手続きの煩雑さに手間取ってしまい、自分での申告をあきらめる方が多いのだと感じます。

4-2. Webサービス「better相続」を利用する

――Webサービスを利用して相続税申告ができる「better相続」の特徴など印象をお聞かせください

4-2-1.分かりやすい操作性で入力しやすい

――相続のシステムは複雑で対応が難しいと言われますがその点はいかがでしょうか

まず、相続税申告に必要な手続きがステップごとにまとめられており、そのシステムどおりに進めていけば申告できる点がいいですね。

複雑な相続の知識がない一般の方でも、上から下へと向かって進めていけば申告ができてしまうという分かりやすい操作性も魅力的だと思います。

また、日中お勤めの方であっても夜や休日を利用して自分のタイミングで少しずつ作業を進めて申告書を完成させるシステムは、申告件数が多い現代には必要なサービスと感じます。

4-2-2.信用できる解説がありスムーズに進む

――相続特有の専門用語もたくさん出てきますね

インターネットで調べれば何でも出てくる時代ですが、逆に情報がありすぎてどれを信用したらよいか分からないということもよくあります。

better相続では、各項目ごとに「専門用語」や「よくあるつまずきやすい点」についてしっかり解説されていて、一般の方が一つ一つ理解しながら手続きを進められる点がとても良いと感じます。

4-2-3.税理士に相談できる

――better相続の相続税申告サポートシステム*として、税理士に相談できるという点はどのような印象をお持ちですか 

預金や株式の残高証明を集めるなど7~8割程度の相続税申告手続きは、一般の方でも割とできると思います。しかし、相続においての難しいポイント、つまり土地の評価や遺産分割をどうするかなど残りの部分は自分一人で進めていくのはなかなか難しいことだと思います。

しかし、そうした点も専門家に相談しサポートを受けながら進めていけるところがいいですね。低価格で要点を専門家にメールやオンラインで質問・相談しながら自分で申告できるので、費用対効果を考えても非常に良いメリットだと思います。

*税理士に相談できる相続税申告サポートは終了しております。

4-2-4.better相続での申告に向いている人と向かない人

――better相続を効果的に活用できる向いている人はどのような人だと思われますか

相続財産が預貯金や上場株式や不動産数件など比較的シンプルなものだけで、かつ、相続人の間で揉めることなく遺産分割がスムーズにできる状況の方であれば、better相続を利用して自分で進めていけると思います。

令和元年の申告数、約11万件のほとんどが基礎控除前後と言われています。その層の方はあまり費用を掛けたくない、相続税を安くしたいと思われているでしょう。

自分で申告をすれば費用を抑えられるけれど、税金を安くする方法はよく分からず申告に不安があるという方こそbetter相続を活用できるのではと思います。

ーー逆にbetter相続をおすすめできないのはどのような人でしょうか

相続人の数がかなり多かったり非上場株式など財産種類がたくさんあったりする複雑な案件や、財産の規模がかなり大きく高確率で税務調査に入ると想定される案件に対応するのは難しいかなという印象です。 

better相続チェックリスト

4-3.税理士に依頼する

――税理士に相続税申告を依頼することについて特徴をお聞かせください

4-3-1.安心して丸投げして大丈夫

ーー税理士に依頼するメリットといえば何でしょうか

まずは、税理士に依頼することで安心して申告できるところがメリットです。相続税の申告は人生で数回のことなので不安に思っている方が多いですからね。残高証明などの資料を揃えてもらう必要はありますが、あとは税理士に丸投げしていただけます。

遺産分割のシミュレーションなどのご提案もできますし、財産がたくさんある、相続人が複数いて揉めそうであるなど複雑な案件でも任せられます。

これは、やはり様々な案件をこなしてきた税理士だからこそ対応できる柔軟な点でしょう。

4-3-2.複雑な案件は相続が得意な税理士へ

――たくさんの相続案件に対応してきた専門家に依頼をすることでスムーズで安心な申告ができるということですね

そうですね。申告期限もありますので、複雑な案件であればあるほど、中途半端に自分でやらずに最初から専門家へ任せてもらったほうが良いと思います。

難しい形状の土地の評価をしたり、相続税を最も安くする分割方法や特例の活用を提案したりと、専門知識と経験とノウハウがある専門家としての強みを活かして、それぞれの案件に最適な対応ができます。

また、生前贈与があったなど当事者同士だと話しづらいという案件の場合、相続人の間に税理士が入ることで進めやすくなるというメリットもありますね。

4-3-3.税理士費用がかかる

ーー注意する点はありますか

ほかの方法に比べて費用がかかります。専門家に依頼し安心して申告をするための費用ですね。また、担当した税理士との相性の良しあしや、相続案件に不慣れな税理士に依頼をすることで申告に影響がでてくることもあります。

税理士にも専門分野があり、相続中心のところもあれば、法人顧問を中心に行う事務所もあります。年間に何件くらいの相続案件をやっているかを聞いて相続を専門としているかどうかの目安にしてみるといいのではないでしょうか。

4-3-4.辻・本郷税理士法人の強み

――辻・本郷税理士法人さんの強みをお聞かせください

1つ目は土地の評価です。複雑な事例がでてくることもあるのですが、年間で最も申告件数が多い税理士法人であるため、ノウハウが多くあり、かつ多数の相続案件に携わってきているスタッフがいるので、評価を下げる最適な方法を検討することができます。

2つ目は税務調査が来ないように、もし来ても心配がないように準備できるのが当社の強みですね。

まず、申告の段階で抜けのないチェックをする体制ができています。預金チェックや指摘されそうなところは国税局OBの税理士に相談するなど、調査が来ないようにできることは全てやります。

万が一調査が入ったとしても経験豊富な税理士や国税局OBの税理士と一緒に対応します。税務調査を不安に思っている方が多いと思うのですが、この点は安心していただけます。

5.これから相続税申告を行う方へ

――最後にこれから相続税申告を行う方、申告について悩まれている方へのメッセージをお願いします

5-1.申告を後回しにしない

ーー相続税申告の注意点を教えてください

相続税の申告は10カ月しかありません。普段忙しい方も後回しにはしないことですね。後回しにすることで対応が後手後手になり最善の方法が取れないこともあります。自分で申告するにしても依頼をするにしても、早めに決めたほうがいいです。

また、相続の対象になる財産の範囲は一般の方と税務署の認識に違いがあるケースがありますので、自分の思い込みだけで判断をしないよう注意が必要です。

5-2.自分に最適な申告方法を選択する

ーー申告方法についてアドバイスをお願いします

自分一人で申告をすることは財産の漏れが発生して追徴課税されるリスクや、節税機会を逃してしまうリスクがあります。そのリスクを回避する手段として、better相続を利用したり税理士に依頼したりすることがスムーズで正しい相続税申告につながります。

財産が貯金や上場株式や自宅しかない、相続人が配偶者と子供だけである、その他の土地を持っているが評価が難しくないといった比較的シンプルな案件であれば、better相続を選択したほうが良いでしょう。

それ以外の複雑な案件や非上場株式など評価の難しい財産がある場合には、税理士に依頼したほうが良いです。特に当社は安心のトップブランドと自負しておりますので、安心して申告をしたいという方は特に当社へ依頼してみてください。

――お忙しいところお話を聞かせていただきありがとうございました。

better相続

監修者情報

監修者:德永和喜

徳永 和喜(公認会計士)

高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。

2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。

2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。

 

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