家を相続した時の手続きは?名義変更の方法や費用、税金、売却など解説

家を相続した時の手続きや税金・費用などについて解説

親が持ち家だった場合、家を相続することになります。その際にどのような手続きを行えばよいのかわからない方も多くいらっしゃいます。

今回は家を相続した時の手続きや税金、費用について解説します。また、相続した家の分割方法や売却の流れについても解説しますので、参考していただけますと幸いです。

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家を相続した時の手続きと流れについて

まずは家を相続した時にどのような手続きを行うのか、流れに沿って解説します。

相続手続きに必要な書類を集める

相続手続きに必要な書類を集める

家を相続する場合、相続人は誰なのか、遺言書があるかどうかを確認する必要があります。

まずは故人が出生してから死亡するまでの連続した戸籍謄本を収集し、相続人が誰なのかを明確にします。

その後、遺言書の有無を確認し、自筆証書遺言であれば家庭裁判所での検認を行った後に内容を確認します。遺言書に記載してある通りに相続するのが一般的です。

家を相続する人や方法を決める

遺言書がない場合や家を相続する方法について記載がない場合は誰が家を相続するのか話し合う必要があります。

家庭裁判所で相続放棄を行った相続人以外の法定相続人全員で遺産分割協議を行い、家を誰がどのように相続するのか話し合います。

揉めてしまうと相続に時間がかかってしまうため、様々な分割方法を活用して、全員が納得できる形で遺産を分割することをおすすめします。分割方法については後ほど解説します。

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書を作成する

相続人全員で遺産分割協議を行い、そこで決まった内容で遺産分割協議書を作成します。この時、分割方法を記載する必要があり、記載しない場合は贈与税などが発生する可能性があります。

遺産分割協議書の作成方法は他のページで解説しています。また、雛形もダウンロードできますのでご覧いただけますと幸いです。

相続税申告を行う

家を含めた財産総額から、借金などの債務を除いた遺産総額が相続税の基礎控除額を超えている場合、故人が死亡したことを知った日(通常の場合は、死亡の日)の翌日から10か月以内に相続税申告を行わなければいけません。

相続税の基礎控除は【3,000万円+600万円×相続人の数】で算出されます。相続税の対象となる財産を洗い出し、評価額がいくらなのか計算して相続税申告が必要か確認しましょう。財産の評価方法によって相続税申告が必要かどうか変わる場合は、税務署へ相談して判断してもらうことをおすすめします。

相続税申告は書類の作成や税金の計算などが難しく、税理士に依頼される方がほとんどです。しかし、自分で相続税申告を行い、税理士に依頼する費用を抑えることもできます。『better相続申告』は初めての方でも自分で相続税申告を行えるサービスで、専門家のノウハウをシステムに落とし込んでいるため、簡単に相続税申告を行うことができます。


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相続した家の相続登記を行う

家を相続した場合、土地と建物を相続した人の名義に変更する必要があります。

この手続きを相続登記といい、2024年4月1日から相続登記が義務化されます。義務化により、相続の開始及び相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。また、遺産分割協議を行う場合は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記を行う必要があります。

登記申請書を作成し、必要書類とともに法務局へ提出することで手続きが完了します。

相続登記も手続きが難しく司法書士に依頼される方が多くいらっしゃいますが自分でも行うことができます。自分で行いたい方には『better相続登記』がおすすめです。専門家のノウハウをシステムに落とし込んでいるため、相続登記に必要な書類の作成や収集、申請方法などが詰まっています。


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相続した家に住む、活用・売却する

相続登記の完了後、相続した家の手続きは完了です。そのまま住み続けることや売却することなどもできます。

家を売却する場合は、実績や知識などを考慮して不動産業者を探すことをおすすめします。

また、家を売却すると所得税が発生し確定申告が必要になる可能性があります。この場合、後述するマイホーム特例や空き家特例の適用要件を満たしていると大幅に所得税を抑えることが可能です。

また、相続税申告が必要な場合には、大幅に相続税を抑えることができる小規模宅地等の特例という制度を適用できなくなってしまう可能性もあります。そのため、あらかじめこれらの制度を把握した上で、必要に応じて専門家に相談することも必要です。

なお、相続登記が完了していない場合は売却できません。また、共同で相続した場合、売却時の手続きは所有者全員で行わなければならないため、手続きを円滑に進めにくくなります。

家を相続する時にかかる費用

家を相続する際に様々な手続きが必要となります。その際にどれくらいの費用がかかるのか解説します。

必要書類を集めるのにかかる費用

必要書類を集めるのにかかる費用

相続登記や相続税申告などの手続きを行う際に、戸籍謄本や固定資産課税明細書などの必要書類を取得する必要があります。1枚当たり300円ほどの費用がかかりますが、種類が多くあるため、数千円~数万円ほどの費用になります。

また、遺産分割協議書など作成しなければならない資料もあり、コピー代や製本テープ代などの費用も発生します。

家が遠方にある場合、郵送での手続きとなると送料も発生するため、より費用が高くなります。

司法書士に相続登記を依頼する費用

司法書士に相続登記を依頼する費用

相続登記を司法書士に依頼する場合、7~15万円ほどの費用がかかります。家が1件のみで相続内容も複雑でない場合は10万円以下の費用になることが多いですが、不動産が複数ある場合や相続人が多い場合だと10万円以上の費用となることがあります。

司法書士に依頼すれば確実に相続登記ができる上に、書類の作成などを代行してもらえるため、手続きの手間を省くことができます。

費用は多少かかっても良いので相続登記を簡単に行いたい方や相続の内容が複雑で自分で手続きを行うことができない方は司法書士へ依頼されることをおすすめします。

税理士に相続税申告を依頼する時の費用

税理士に相続税申告を依頼する時の費用

相続税申告を税理士に依頼した場合、遺産総額の0.5~1%が費用としてかかります。申告期限までの日数が少ない場合や財産に土地や非上場株式が含まれている場合、相続人が複数いる場合などは加算報酬がかかり、費用が高くなる可能性があります。

税理士は財産目録や相続税申告書の作成を行いますが、書類の収集や財産調査などは依頼人が行うことが多く、代行を依頼する場合は別途報酬を支払うことが一般的です。

費用が多くかかってもよいので面倒な手続きをすべて代行したい方や、非上場株式や複雑な形をした土地など評価が難しい遺産があった場合などの際に税理士へ依頼することをおすすめします。

家を相続する時にかかる税金

家を相続する際、手続きにかかる費用だけでなく税金が発生することもあります。どのような税金がどのタイミングで発生するのか解説します。

相続登記の際に登録免許税がかかる

相続登記の際に登録免許税がかかる

相続によって家の名義変更を行う際に登録免許税がかかります。登録免許税とは不動産などの名義を変更した際に課される税金で、譲渡など相続以外の要因で名義変更した際にも課されます。

相続登記の場合、登録免許税の税率は固定資産税評価額の0.4%となっています。例えば、建物が1,234,500円、土地が4,560,000円の家があったとします。課税標準は1,234,500円+4,560,000円=5,794,500円となりますが、1,000円未満を切り捨てるため、5,794,000円となります。

ここに登録免許税の税率をかけると5,794,000円×0.4%=23,176円となりますが、100円未満を切り捨てるため、23,100円が登録免許税として課されます。

登記申請書を法務局へ提出する際に台紙へ収入印紙を貼ることで、登録免許税を納めることができます。法務局へ直接、登記申請書を提出する場合は法務局で収入印紙を購入と貼り付けができます。

遺産総額によって相続税がかかる

遺産総額によって相続税がかかる

遺産総額が基礎控除額を超えた場合、相続税が課されることがあります。ただし、遺産総額が基礎控除額を超えている場合でも控除を適用することにより相続税が課されないこともあります。

相続税は計算過程が複雑で、税額も課税遺産総額によって異なるため、算出する際はツールのご利用をおすすめします。

相続税は金融機関や税務署の窓口などで、一括で納めることが原則とされています。相続税申告によって算出された相続税を相続人ごとに納付します。期限は相続税申告と同じく、相続が発生してから10か月以内となっています。

家の相続を兄弟などで揉めないための分割方法

家の相続手続きを進める際、遺言書がなければ遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。

その際、家の相続の方法で揉めてしまうと手続きが進まなくなります。分割方法を把握し、適切な方法で分割することにより揉める可能性を下げることができます。

代償分割でお金を渡す

代償分割でお金を渡す

代償分割とは、遺産を現物で取得する代わりに代償金を他の相続人に支払う分割方法です。例えば、長男が5,000万円の家を相続する場合、弟に2,500万円の代償金を支払うと、どちらも2,500万円分の相続ということになります。

代償分割を行うことで比較的公平に遺産分割を行うことができる他、家が共有持分にならないため、相続登記や不動産売却などの手続きが複雑になることを防げます。

しかし、家の評価額などで揉める場合や代償金を支払うための資金がない場合にトラブルとなる可能性があるため、遺産分割協議の時点で懸念点を払拭することをおすすめします。

換価分割で売却したお金を分ける

相続した財産を売却し、売却によって得たお金を相続人で分け合うのが換価分割です。相続した家に住まず、売却を考えている方におすすめします。

換価分割は売却によって得たお金を分配するため、資金力がなくても相続人同士で財産を分け合うことができます。また、売却金を分けるため、評価額や家を誰が相続するのかなどで揉めることを防げます。

しかし、不動産が売却できない場合や家の評価が低く売却金が少ない場合もあります。また、不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が発生するため、税金を支払うための資金の確保が必要となります。

共有してもよいがおすすめではない

家の名義を相続人で分け、共有持分にすることもできます。相続人の数で持ち分を分けると全員が平等に相続することになります。

しかし、共有持分の場合、相続登記や売却する際の手続きが複雑になる、相続人全員で手続きを行わなければならないなどのデメリットがあるため、おすすめしません。

なるべく共有は避け、誰かが単独で相続するように遺産分割を進めましょう。

空き家になるなど家を相続しない場合

家を相続したくない場合や相続しても住まない場合、どのような手続きを行えばよいのか解説します。

家を相続したくない場合は相続放棄の手続きを行う

家を相続したくない場合は相続放棄の手続きを行う

家を相続したくない場合、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申立を行う必要があります。相続放棄の申立を行わなかった場合、家を含めたすべての遺産を相続することになります。

また、相続放棄を行った場合、家以外の遺産も放棄することになるため、遺産総額や内訳を見て相続放棄を行うべきなのか判断されることをおすすめします。

なお、相続放棄を行った場合、次の順位の相続人が相続することになります。例えば、親が亡くなり、子の全員が相続放棄を行った場合、直系尊属である親や祖父母が相続することになります。直系尊属が亡くなっていたり、相続放棄をしたりした場合は故人の兄弟が相続人となるため、相続放棄を行う場合はあらかじめ連絡を取っておくことをおすすめします。

相続人全員が相続放棄を行った場合の家の管理

相続人全員が相続放棄を行った場合、相続する人がいなくなりますが、保存義務は残ります。その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している人が保存義務を負うとされているため、故人の家に同居していた人は相続放棄を行った場合でも管理を続ける必要があります。

保存義務を無くすためには家庭裁判所へ相続財産清算人の申立を行います。申立が通り、相続財産清算人へ遺産が移った場合、保存義務がなくなり、管理を行う必要がなくなります。

相続財産清算人の申立は手続きが複雑なため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続した家を売却する流れ

相続した家を売却する際は、まず相続登記を完了させます。

家を売却する場合、故人から購入者の名義へ変更することができません。所有権が相続人へ移転しているので、故人から相続人へ相続登記を行った後に購入者へ名義変更を行う必要があるため、まずは相続登記を完了させます。

その後、家を円滑に高く売却してくれる不動産業者を探し、売却の手続きを進めます。

相続した家を売却する時にかかる税金

相続した家を売却する時にかかる税金

相続した家を売却する際、売却によって利益が出た際に譲渡所得税・住民税が課されます。売却益は【相続した不動産を売却した時の価格-(不動産を取得した額+売却にかかった費用+控除)】で算出されます。

不動産を取得した額は故人が土地や建物を取得した金額となりますが、建物は減価償却を行った金額で算出します。故人が取得した金額がわからない場合は相続した不動産を売却した時の価格の5%を取得費とすることができます。

また、不動産売買契約書を作成する際に印紙税が課されます。契約書に記載されている金額によって印紙税の金額が異なります。

相続した家を売却する際に適用される特別控除

相続した家を売却する際に特別控除を適用することで、納める税額を抑えることができます。どのような特別控除があるのか解説します。

マイホームを売ったときの特例

マイホームを売ったときの特例

マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を適用することができます。譲渡所得から3,000万円を控除できるため、譲渡所得税を大きく下げる効果があります。

相続した家に住み続けていると居住用財産となり、特例が適用されますが、相続した家に住まず空き家になっていた場合、住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を適用することができません。

相続した家が空き家になり、売却した際の控除

故人が住んでいて空き家になっている家を売却した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

特例の対象となる「被相続人居住用家屋」および「被相続人居住用家屋の敷地等」は以下のすべてを満たしている必要があります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

また、売却する際にも適用要件が複数あるため、事前に控除を利用できるのか確認してから売却手続きを進めると良いです。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

家を相続した際に相続税を課された場合、一定金額の相続税を家の取得費に加算することができます。

また、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例との併用はできるものの、相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは併用できないため、注意が必要です。

家の相続でよくある質問

家を相続する際に出る質問についてまとめました。

知りたい情報を確認いただけますと幸いです。

家を相続した場合、共有名義から単独名義にできる?

家を相続した場合、共有名義から単独名義にできる?

相続した家が両親の共有名義になっていることがあります。仮に父親が亡くなった場合、母親に父親の持ち分を相続させることで単独名義にすることができます。

子供に相続させたい場合は故人の持ち分を子供へ相続させ、一旦共有名義にします。両親が二人とも亡くなった際に持ち分を一人の子供に登記することで単独名義にすることができます。途中で贈与することで単独名義にすることもできます。

誰に相続するのかによって相続税や贈与税が変わる可能性があるため、二次相続を踏まえてシミュレーションすることをおすすめします。

家を孫へ渡す方法は?

家を孫へ渡す方法は?

家を孫に相続させる場合、生前贈与や遺言による贈与、養子縁組という方法があります。

生前贈与の場合、家の所有者が贈与する相手を選ぶことができるため、孫へ家を渡すことが可能です。しかし、贈与税が課されるため、孫が贈与税を支払うための資金を用意する必要があります。

孫を養子にすることで法定相続人となり、家を相続させることもできます。しかし、相続税が2割加算されるほか、手続きが複雑で、場合によっては養子縁組が否認される可能性もあります。

生前から家の名義変更を相続人にすることはできる?

生前のうちに家の名義を推定相続人に変更することは可能です。その場合、生前贈与になるため、登録免許税は相続登記の5倍となります。また、贈与税が課される可能性もあります。

相続時精算課税制度などを活用し、贈与税を抑えた形で家の生前贈与を進めることをおすすめします。

兄弟の家を相続することはできる?

兄弟が法定相続人となっている場合、兄弟の所有している家を相続することができます。死亡等の理由により子も親もいない場合、兄弟が法定相続人となります。

法定相続人であったとしても遺言に家を相続する相手が記載されている場合や、遺産分割協議で家を相続する人が決まった場合は家を相続できない可能性があります。

また、兄弟の場合は相続税が2割加算されるため、家を相続する場合は相続税を支払う資金の用意も必要となります。

 

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監修者情報

監修者:德永和喜

徳永 和喜(公認会計士)

高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。

2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。

2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。

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