「相続税の配偶者控除ってなに?」
あなたは今、そのようにお考えではありませんか?
遺産相続の手続きをするにあたり、相続税を安く抑える配偶者控除という制度を知った。
もし、どういう条件で利用ができて、どのくらい相続税が抑えられるのかが知れたら理想的ですよね。
そのようなお悩みを持っている方に朗報です!
配偶者控除を使用すると、最大で相続税が0円になります!
この記事では「相続税の配偶者控除の説明」や「配偶者控除の計算方法」などをご紹介します。
また「配偶者控除以外で相続税を抑える方法」などをご紹介するため、相続税を抑え、相続する金額を最大化できるでしょう。
相続税の配偶者控除でお悩みの方に、この記事がお役に立てれば幸いです。
- 相続税の配偶者控除とは、配偶者が被相続人(=亡くなった人)から遺産を相続をする際、かかる相続税を控除する特例
- 配偶者控除を使うと、相続税が最大で0円になる
- 配偶者控除が適用できる条件は「戸籍上の配偶者」「遺産分割が決定済み」「相続税申告書を税務署に提出」
- その他の相続税を抑える主な方法は「小規模宅地の特例を利用する」
- 相続税で配偶者控除を使う最大のデメリットは、次に配偶者が亡くなったときに子供の相続税が多くなる可能性があること
- 複雑な相続税を最小限に抑えるには税理士に!今なら無料相談でお悩み解決中!
相続税の配偶者控除とは?最大で相続税が0円に!
相続税の配偶者控除とは、配偶者が被相続人(お亡くなりになった方)から遺産を相続する際、かかる相続税を控除する特例です。
遺産は相続する時には通常、相続税というものがかかります。
しかし全ての遺産に対して相続税がかかるわけではなく、配偶者控除などを使って、相続税の対象となる遺産を少なくすることが可能です。
配偶者控除には、2つのパターンがあります。
その違いは、法定相続分に沿って、遺産を相続するかどうかです。
※法定相続分とは、被相続人の財産を相続する際に、配偶者や子供など各相続人の相続の割合のことです。
詳しくは、相続順位と遺産分割の割合でご確認下さい。
以下では、
- 法定相続分の財産を相続した場合
- 法定相続分で財産を相続しない場合
に関してご説明します。
法定相続分の財産を相続した場合
法定相続分で遺産を分割した場合、配偶者控除を使うと、配偶者の相続税はかかかりません。
例えば、夫(被相続人=亡くなった人)が現金の10億円の遺産を残しているとします。
妻(配偶者)の他に子供が1人いる場合、法定相続分で遺産を分割すると、以下のようになります。
妻(配偶者):5億円←配偶者控除で相続税は発生しない
子供:5億円←相続税が発生する
この時、子供には相続税がかかりますが、妻は法定相続分で遺産を分割しているため相続税がかかりません。
そのため法定相続分で相続する場合、相続額が1億6000万円を超えても、100億円でも相続税がかかりません。
法定相続分で財産を相続しない場合
法定相続分で遺産を相続しない場合は、法定相続分または1億6,000万円までは相続税がかかりません。
先ほどと同様に、夫(被相続人=亡くなった人)が現金の10億円(基礎控除を引いた額)の遺産を残しているとします。
妻(配偶者)の他に子供が1人いる場合、妻が9億円、子供が1億円相続すると、以下のように相続税がかかってきます。
妻(配偶者):9億円←4億円(9億円-5億(10億円×法定相続分1/2))分は相続税が発生する
子供:1億円←相続税の対象となる
相続税の配偶者控除額の計算式|実際にかかる税金を計算しよう!
ここでは、相続税の配偶者控除額の計算方法をご紹介します。
上記でご説明した通り、配偶者が法定相続分で財産を相続するorしないで計算方法が異なります。
- 配偶者が法定相続分の財産を相続する場合
- 配偶者が法定相続分を適用せず相続する場合
- 配偶者が相続する財産が法定相続分以下、又は1億6000万円以下
- 配偶者が相続する財産が法定相続分超、かつ1億6000万円超
配偶者が法定相続分を相続をする場合
配偶者が法定相続分を適用して相続する場合、配偶者にかかる相続税は0円です。
もし夫(被相続人)、妻(配偶者)、子供の3人で構成されている家族が遺産10億を相続すると、法定相続分で遺産を分けた場合以下のようになります。
妻(配偶者)=5億
子供=5億円
これを、相続税の計算式に当てはめて計算します。(生前贈与は行なっていないものとする)
[1]家族全体の相続税の総額×([2]①か②の少ない方÷[3]課税価格の合計額)=配偶者控除額
①「相続税の課税価格の合計×配偶者の法定相続分」か「1億6,000万円」のうち多い方
②配偶者の課税価格
まず初めに、[1]を求めます。
[1]家族全体の相続税の総額×([2]①か②の少ない方÷[3]課税価格の合計額)=配偶者控除額
家族全体の相続税の総額は、相続税の税率を基に計算されます。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
これに沿って相続税を計算すると、家族全体の相続税の合計は3億9,500万円です。
妻(配偶者):4億7,900万円(10億円-基礎控除額4,200万円(3,000万円+600万円×2名)×法定相続分1/2)×0.5-4,200万円=1億9,75800万円
子供:4億7,900万円×0.5-4,200万円=1億9,750万円
次は、[2]の①か②の少ない方を決めます。
[1]家族全体の相続税の総額×([2]①か②の少ない方÷[3]課税価格の合計額)=配偶者控除額
①「相続税の課税価格の合計×配偶者の法定相続分」か「1億6,000万円」のうち多い方
②配偶者の課税価格
①の「相続税の課税価格の合計×配偶者の法定相続分」は、10億円×1/2=5億円となります。
②の配偶者の課税価格は、5億円となります。
両方同じため、[2]は5億円となります。
[3]の課税価格の合計額は、遺産の10億円です。
それぞれ[1]、[2]、[3]を計算式に当てはめると、
配偶者の控除額は、3億9,500万円×(5億円÷10億円)=1億9,750万円となり、配偶者の相続税である1億9,750万円が全て控除され、配偶者にかかる相続税が0円になります。
配偶者が法定相続分以外の財産を相続をする場合
配偶者が法定相続分以外の財産を相続するを場合、配偶者に割り当てられる遺産が法定相続分または1億6000万を超えているか否かで相続税が変わります。
今回のケースでは、法定相続分は5億円で、1億6千万円を超えているため、配偶者に割り当てられる遺産が5億円以下か、超えているかで相続税が変わります。
配偶者に割り当てられる遺産が法定相続分以下、または1億6000万円以下の場合
配偶者に割り当てられる遺産が法定相続分以下、または1億6000万円以下の場合、先程と同様に、配偶者控除によって、配偶者にかかる相続税は0円になりますが、その分子供にかかる相続税額が多額になり、トータルの相続税額は高くなる可能性があります。
将来配偶者が亡くなった際の二次相続税も足したトータルの税額で判断する必要があるため注意が必要です。
配偶者に割り当てられる遺産が法定相続分超、かつ1億6000万円超の場合
配偶者に割り当てられる遺産が、法定相続分と1億6000万円をともに超えている場合法定相続分超で、かつ1億6000万円超の場合、配偶者にも相続税が発生します。
先ほどと同じように、夫(被相続人)、妻(配偶者)、子供の3人で構成されている家族が遺産10億を、以下のように相続するとします。
妻(配偶者):8億円
子供:2億円
そして以下の計算式で、相続税を算出します。(生前贈与は行なっていないものとする)
[1]家族全体の相続税の総額×([2]①か②の少ない方÷[3]課税価格の合計額)=配偶者控除額
①「相続税の課税価格の合計×配偶者の法定相続分」か「1億6,000万円」のうち多い方
②配偶者の課税価格
まず初めに[1]を求めます。
家族全体の相続税の総額は、相続税の税率を基に計算されます。法定相続分ではない分割を行った場合でも、相続税の総額は、一旦、法定相続分で計算します。
そのため、先程と同様に、家族全体の相続税の合計は3億9,500万円になります
これを妻(配偶者)と子供がそれぞれ取得する財産金額で按分した金額が、それぞれが負担する相続税額となります。
妻(配偶者):3億9,500万円×8億円÷10億円=3億1,600万円
子供:3億9,500万円×2億円÷10億円=7,900万円
次は、[2]の①か②の少ない方を決めます。
[1]家族全体の相続税の総額×([2]①か②の少ない方÷[3]課税価格の合計額)=配偶者控除額
①「相続税の課税価格の合計×配偶者の法定相続分」か「1億6,000万円」のうち多い方
②配偶者の課税価格
①の「相続税の課税価格の合計×配偶者の法定相続分」は、10億円×1/2=5億円となります。
②の配偶者の課税価格は、8億円となります。
少ない方は①なので、[2]は5億円となります。
[3]の課税価格の合計額は、遺産の10億円です。
それぞれ[1]、[2]、[3]を計算式に当てはめると、
配偶者の控除額は、3億9,500万円×(5億円÷10億円)=1億9,750万円となります。
控除前の妻(配偶者)の相続税は、3億1600万円ですので、
3億1,600万円-1億9,750万円=1億1,850万円となり、配偶者にも相続税が発生します。
相続税の配偶者控除が適用できる3つの条件|この要件を満たしていないと控除を受けれらない!
ここでは、相続税の配偶者控除が適用できる3つの条件をご紹介します。
- 戸籍上の配偶者であること
- 遺産分割が決定していること(=遺言書か遺産分割協議書があること)
- 相続税申告書を税務署に提出すること
戸籍上の配偶者であること
戸籍上の配偶者ではない場合、相続税の配偶者控除が適用できません。
内縁の妻・夫の場合や、事実婚の場合は適用することができず、市役所に婚姻届を出している必要があります。
遺産分割協議が決定していること
遺産分割協議とは、遺言書がなかった時に、相続人で遺産を話し合いによって分割していくことです。
遺産分割協議は、被相続人が死亡してから10ヶ月以内に、誰にどの割合で遺産を分割するかを決定し、遺産分割協議を作成する必要があります。
遺言書がある場合を除き、遺産分割協議をしなければ、遺産の分割割合が法定相続分なのか、それ以外なのかが決まらないため、配偶者控除を受けることができません。
『詳しくは「遺産分割とは?手続きの流れを税理士が解説!」をご覧ください。』
相続税申告書を税務署に提出すること
相続税が0円でも申請しなければ、相続税の配偶者控除が受けれません。
無申告の場合、税務署からペナルティが課され、最悪の場合追加課税が発生するので期限内に提出しましょう。
相続税の配偶者控除を税務署に申告するまでの3ステップ
相続税の配偶者控除を税務署に申告するまで、3つのステップがあります。
- 遺産分割協議で分割方法を決定する(遺言書がある場合は不要)
- 配偶者の相続税を計算する
- 配偶者控除を申告するための必要書類を提出
①遺産分割協議で分割方法を決定する(遺言書がある場合は不要)
遺産分割協議とは、どの遺産を誰にどの割合で分割するかを話し合いで決定することです。
相続人全員の合意を得られなければ、無効になってしまうため、注意が必要です。
分割方法が決まれば、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名・捺印が必要となります。
②配偶者の相続税を計算する
前述の計算式を用いて、配偶者控除額と相続税を計算します。
この時、相続税等の計算を間違えてしまうと、追加課税等のペナルティを
受ける可能性があるため正確に求めましょう。
③配偶者控除を申告するための必要書類を提出
配偶者控除を申告する場合、以下の書類を提出する必要があります。
- 相続税申告書
- 被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書の写しor遺言書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
これらを提出することで、遺産相続の配偶者控除が適用できます。
なお、申告期限までに遺産分割協議が完了しない場合には、「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出することで、将来遺産分割協議が完了したタイミングで配偶者控除を適用することができます。ただし、修正申告や更正の請求等が必要になるため注意が必要です。
相続税の配偶者控除で注意すべき点|下手をすると控除を受けれなくなる可能性が!?
ここでは、相続税の配偶者控除で注意すべき点をご紹介します。
- 10ヶ月以内に遺産分割が決まらなかった場合
- 配偶者が遺産分割の前に死亡した場合
10ヶ月以内に遺産分割が決まらなかった場合
相続税の申告は、被相続人(亡くなった方)が死亡したことを知った日の翌日から「10ヶ月以内」に行う必要があります。
しかし期限までに遺産分割協議が終わらず、遺産の割り振りに揉めてしまうことも。
そのような時のために「申告期限後3年以内の分割見込書」というものがあります。
この書類は、遺産分割が未了の場合に、「3年内に遺産分割が完了する見込みである」旨を税務署に提出しておくことで、将来遺産分割が確定した際に配偶者控除を適用することができます。
そのため、期限内に相続分割が決まらなかった場合は、届け出をするようにしましょう。なお、この場合、当初申告時には配偶者控除が適用できないため、将来、修正申告や更生の請求が必要になってしまう点はご注意下さい。
『詳しくは「相続税の申告期限はいつまで?間に合わなかった場合のペナルティまで解説!」をご覧ください。』
配偶者が相続分割の前に死亡した場合
相続が始まった後に、遺産分割が決まらないまま配偶者が死亡することがあります。
そのような場合は、死亡した配偶者が生存していると仮定し、遺産分割を行います。
相続人同士の合意さえあれば、配偶者に遺産を分けることなく、生存している相続人同士で遺産を割り振ることができます。
また配偶者に遺産を割り振り、配偶者控除を受けることも可能です。
相続税を抑える方法|限りなく税金を0に近づける!
配偶者控除以外に、相続税を抑える方法をご紹介します。
小規模宅地の特例を利用する
小規模宅地の特例とは、一定の要件を満すると、土地の相続評価額を最大8割減らすことができる特例です。
遺産に土地が含まれている場合、小規模宅地の特例利用できるか確認しましょう。
相続税で配偶者控除を使う最大のデメリット|子供への相続税が大きくなる!?
相続税で配偶者控除を使う最大のデメリットは、子供への相続税が大きくなる可能性があることです。
具体例を挙げると、父(被相続人、亡くなった人)、母(被相続人の配偶者)、子供の3人家族がいるとします。
父が亡くなり、遺産を配偶者である母と子供で相続します(一次相続とも言います。)。
その後立て続けに母が亡くなってしまい、子供がさらに遺産を相続します(二次相続とも言います)。
二次相続では法定相続人が1名となり、かつ子供は配偶者控除を使用することができないため、相続税が高くなることがあります。
下記は、父が1億円の遺産を、母(資産なし)と子供が相続し、さらに母の死亡後に子供が遺産を相続した時のケースです。
母が全て相続した時の子供の相続税 | 母が50%(法定相続分)で相続をした時の相続税 | |
一次相続 | 0円 | 385万円 |
二次相続 | 1,220万円 | 160万円 |
相続税の合計 | 1,220万円 | 545万円 |
上記のように、配偶者控除を使って相続税を一次相続で0円にした時、法定相続分で相続した時と比べ、700万円ほど税金が異なります。
これはほんの一例に過ぎないため、相続税を最小にするために専門家なしで個人で計算するのは難しいです。
そのため土地などの相続税の計算が複雑な遺産があったり、配偶者控除を利用するときは、税理士に相談するようにしましょう。
相続税を最小限に抑えるには税理士に!相続税のスペシャリストに無料相談!
上記で述べたように、個人で相続税を最小限に抑えるのは難しいです。
遺産が多ければ多いほど、相続税の計算が複雑になり、個人で行うとかえって損をするケースが後を断ちません。
そのため税理士に相談をして、相続税を正確に求め、相続税を最小限に抑えることがおすすめです。
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相続税 配偶者控除 まとめ
この記事では「相続税の配偶者控除の説明」や「配偶者控除の計算方法」、「配偶者控除以外で相続税を抑える方法」などをご紹介しました。
- 相続税の配偶者控除とは、配偶者が被相続人から遺産を相続をする際、かかる相続税を控除する特例
- 配偶者控除を使うと、相続税が最大で0円になる
- 配偶者控除が適用できる条件は「戸籍上の配偶者」「遺産分割が決定済み」「相続税申告書を税務署に提出」
- そのほかの相続税を抑える主な方法は「小規模宅地の特例を利用する」
- 相続税で配偶者控除を使う最大のデメリットは、子供の相続税が多くなる可能性があること
- 複雑な相続税を最小限に抑えるには税理士に!今なら無料相談でお悩み解決中!
相続税の配偶者控除を使うと、支払う相続税を大きく抑えることが可能です。
しかし、相続税の計算方法を間違えたり、最適な遺産の振り分け方法をしないと、相続税が大幅に増えてしまうことがあります。
そのため個人で相続税に関する手続きをするのではなく、税理士にご相談することをオススメします。
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